『ゼロ・ダーク・サーティ』『クラウド アトラス』『ツレがうつになりまして。』

いきなり訃報でなんだが、山口昌男が亡くなっていた。
ご本人にとっては不本意であったろうが、オイラが学生の時のニュー・アカデミズムという潮流の中で人気を博したような感じだったか?
おそらくお名前も栗本慎一郎の著作で覚えて数冊著書を読んだ。
高校出立ての世間知らずのオイラにとって岸田秀の"唯幻論"、栗本慎一郎の"経済人類学"、そして山口昌男の"文化人類学"という名称が今まで学校で扱われてこなかった知識のように感じられてすごく輝いていた。
結局オイラ自身の興味は岸田秀と栗本慎一郎に行って、山口昌男からは遠ざかってしまったが。
当時はニセ学生なんていう言葉があったぐらいで、東京外語大の山口昌男の授業に潜り込もうかなとおもっていたが、その頃はたしか大学院の所長をしていたとかで学生に教えてはいなかったと聞いたっけ。
山口の文章に最後に触れたのは安彦良和の『虹色のトロツキー 第1集』のあとがき。
漫画も好きだったという山口。
オイラとしては自分が好きな作家が二人結びついたようで嬉しかったっけ。
二人とも北海道出身だし。
ご冥福をお祈りします。


毎週の岩盤浴が日課となっている。
まったく運動しなくなったなあ(笑)。
ストレッチをし、岩盤浴1時間による体温上昇の負荷を与えることで免疫力をあげるタンパク質が活性化する。
とりあえず今年は風邪にもインフルエンザにもなっておらんし、花粉症も心持ち症状が軽い、様な気がするw。
花粉症で眼が痒かったりくしゃみはするけどね(笑)。
自律神経が原因と思われる寒気だとかも岩盤浴や風呂に15分つかるだけで割と解消されてるみたい。


映画評論家の解説を聞かなければ映画を理解出来ない、というのは己の理解力のなさを露呈しているわけだが、仕方ない(笑)。
宇多丸の『イングロリアス・バスターズ』の解説を聴いて再見したくなった。


『無限の住人』Kindle版を最終巻をのぞいて全て購入。
再読読了。
いずれ最終巻がKindle版で出たら覚え書きとしてまとめよう。
本当に5〜6巻前の伏線が生きていたりと(笑)。
だいたい年に出ても二巻ぐらいしかでない作品だから、5〜6巻前の伏線なんて忘れてるし、読んだ当時それが伏線になっているなんて思ってないしさ(笑)。
とにかく物語として無茶苦茶良く出来てる。


『グランド・セフト・オートIV』
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ほぼ二ヶ月ぶりにゲームの先を進めた。
二ヶ月ゲームをやっていなかったかというと、そうではなく、ゲームのストーリーとは関係なくトラックを強奪してはハイウェイを逆走して車をぶつけて貝塚のように積み上げそれを爆破して楽しんでいたのだ(笑)。
車を積み上げた数だけ誘爆。
乗員が火だるまになってのたうち回る。
それがオマワリだとかなり気持ちがいい(笑)。
結構飽きもせずにそれをやり続けていたのを止めたのは、結局最後は逃げ切れずに自分のトラックの爆発で死んだり、ヘリから射殺されたり、オマワリに射殺されたり、パトカーにひかれたりして、負けることが決定づけられていたからだ(笑)。
ちょっと心を入れ直して先に進めたら、ガールフレンドのミシェールとエッチを二回しw、更にハンドガン、ショットガン、SMGを手に入れられてなかなか面白い状態になったのだ(笑)。
まあ、ゲームのことですからw。
あらゆる卑劣な事がゆるされるゲームですからね(笑)。


『ゼロ・ダーク・サーティ』
ネタバレあります。
先週月曜日、会社を午後休でMOVIX川口で鑑賞。
観れないと思っていた作品が観れて取りあえず感無量である。
宇多丸が本作を"討ち入り 赤穂浪士"と言っていたが、たしかにそうだな(笑)。
本作はアメリカ同時多発テロ事件の下手人であるウサマ・ビンラディンをアメリカ軍が殺害するまでを描いているのだが、実際はほぼ映画の三分の二をつかってCIAの仕事についてを描いている。
世界最大のスパイ。
暗殺。
黒いトレンチコートを着て容疑者を拉致。
etc...。
CIAの職員が皆ジェームズ・ボンドのような気になっていたが、実際は地道とも言うべき分析作業を延々と続ける。
分析官は散財する玉石混合の情報を整理してそれらを繋げていく。
繋げられないところはアメリカという国力とテクノロジーによる手段によって埋めていく。
その手段とは、電話の盗聴はもとより、24時間の監視、買収、そして拷問による手段までもが含まれる。
これらのCIAの情報収集の手段(絶対に本の一部だろうけど)を知る事ができるだけでも本作を観た価値はあったかな。
その辺りの描写は興味深くもあった。
情報を的確に正確に分析し、処理する能力が分析者に求められる。
このCIAって大卒だとか院卒の集団だと思っていたら、高卒でもとっているのね。
本作の主人公のマヤが高卒という設定。
学歴よりも優秀で若い高卒の人間を青田買いして長い期間をかけて分析者として育てていく事に合理性があるんだろうね。
結果を重視する、結果のみを重視する集団であればなおのことだろう。
それでもビンラディンを捕捉して殺害するまで十年かかってる。
情報処理のミスが末端職員の命の危険、命をおとすこともあったのだ。
学歴による差別のない素敵な機関、と思っていたら、劇中でCIA長官が主人公のマヤに向かって
「だれだこのアマは?」
と、英語が出来ないオイラでも非常に下品な喋り方をしてるんだろうなと分かる感じの態度で接したりしているのを見ると、実際は学歴も性別でも差別があるのかもしれんな。
エリート集団だからといってスマートで上品な人間の集まりでもないということみたいだし。
それはともかく、本作ではかなり丹念に(正確かどうかは別にして)CIAの仕事についてを描いている。
で、どうしてそれが必要だったのかと言えば、ここまで優秀な職員の努力と粘り、国家のサポートをした上でのビンラディン殺害の作戦が間違いの筈がないというエクスキューズなのではないか。
間違いというのは、ビンラディンでない人間を殺害しちゃったという可能性。
劇中でもあったのだが、欧米人からすればアラブ人の人相の識別が如何に困難か。
ヒゲをちょっと伸ばしただけで別人に見えてしまう。
キャスリン・ビグローの前作『ハート・ロッカー』でも主人公がいつも会っていたアラブ人の少年の顔を識別できなかった描写がある。
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作戦に加わった兵士がこんなナイトヴィジョン越しに見た顔を正確に自分のターゲットだと認識できるのか?
また長い年月をかけてビンラディンを追い続けた主人公のマヤなら識別は可能だとして、実際に頭部を撃たれた人間の顔を判断できるのか?
もしかしたら公にされていないビンラディンの近影が存在していたのかもしれないし、死体はアメリカ軍が回収したわけなのでDNA鑑定なども行った上での事だろうとも思うけど。
どうもねハタからみるとビンラディンだと識別できた根拠が曖昧なんだよね。
本作を観たら余計そんな気分になった。
ビンラディンの殺害までの話であるため、物語の終わりは誰でも分かる。
なのでそこに至までの過程を丹念に積み上げているのも分かる。
ただ、そこに至るまでの過程とは情報公開が可能な部分のみだということも観客は分かっている。
映画は面白かったんだけど、どうも微妙に引っかかっちゃう作品でもあった。


『クラウド アトラス』
ネタバレあります。
先週金曜日。
109シネマズ菖蒲。
ずっと楽しみにしてました。
なんというか、つまらなくはなかったっすよ(笑)。
有名な役者が一人六役ぐらいをやって、メイキャップでほとんど役者が特定できないぐらいになってたから。
それをエンド・クレジットで誰がどの役だったのかが分かったりなんかしてね。
エラく金のかかった仮装パーティーを観ているみたいだったかな。
そういう部分は楽しめた。
本作は六つの物語を適切な箇所で切り替えながら同時進行していく。
物語的に言えば作曲する話とクローンの話が面白かったな。
興味をひいたのはその二つかな。
その二つを単独で観てみたい気がするが、作曲の話は真剣に長い物語としてやろうとしたらあの監督達には荷が重すぎる気がするし、クローンの方は本作の中でもなんとなく浮き上がった感じなものになっていたし(笑)。
本作が実は輪廻転生の映画とは思ってなかったのだ(笑)。
六つの別々の物語がひとつのキーワードによって終盤で結びつく、そんな話を想像していた。
実際には輪廻というキーワードで結びついているともいえるのだけど。
早い話が輪廻転生をテーマにした物語であるなら、オイラは手塚治虫の『火の鳥』にすでに触れているわけなので、そのテーマを見る眼が自然と厳しくならざるを得ない。
六つの物語は1849年〜2321年までの数世紀のスパンではあるが、手塚治虫は原始時代から未来までのそれこそ壮大なタイムスケールで物語を作っている。
そもそも『クラウド アトラス』では転生するのは必ず人間であるし。
まあ『火の鳥』みたいにカメに転生したなんてことは描かなくてもいいけど、たとえば『アバター』に出てきたパンドラのナヴィに転生した、みたいな宇宙スケールにはできないのか?(笑)。
どうもオイラとしては『クラウド アトラス』輪廻転生という思想を矮小化してるような気がする。
考えてみれば輪廻転生は非常に楽観的な思想であるよね。
死んだらそれまでではなく、次の世界があるというのは考えとしては楽観的だ。
本作のように生まれ変わるのが必ず人間で、カメやプランクトンや宇宙人に転生するわけではないとしたら、一回死んでもいいかなとおもっちゃうやね(笑)。
あるいは三島由紀夫の『豊饒の海』のように輪廻転生をめぐるすべての事柄は妄想でしかなかったという結末でもいい。
輪廻転生を楽観的に語られても、今のオイラの琴線にはひびかんなあ。


『ツレがうつになりまして。』
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wowowでの録画で視聴。
劇場で一度観ているので再見。
描写のあらゆるディティールの積み上げが実にいい。
鬱のディティール、漫画家のディティール、お弁当の中身のディティールetc...。
なんとなくディティールが空間を埋めているというのではなく、映像として映るものに対しては必ず必要と必然を意識したものになっている。
ツレが好物のチーズを弁当にいれ、それを昼時食べずに(同僚に弁当をあげちゃうが、その同僚はチーズが嫌いなので残す)持って帰ってきた時にハルさんがチーズを見つけてることでツレの異変に気づくとか。
オイラも心療内科通いの端くれとして、ツレが
「これ以上どうがんばったらいいかわからないよ」
と泣くところは実にリアルだと思う。
更に漫画家のハルさんが画を描いている描写。
手元は宮﨑あおいのそれではないにしても非常に上手く漫画家の修羅場をつないでいる。
仕事机の上にある道具も非常に理にかなってると思う。
で、やはり何度観てもいいのが、ハルさんがツレの手をとって服の下から直に自分の胸を触らせるシーン。
ある意味乳首を出すよりエロティックだね、こういうのは。
ハルさんがツレににじりよって手を服のしたに差し込む様が、なんというか、愛情とエロスに溢れていてすばらしいね。
こういう事ができちゃうんだもん、宮﨑あおいが引っ張りだこなわけだ。
同じ様に良い女優だけど深津絵里にもそれぐらいの度胸があったらなあ。
たぶん繰り返しみるだろうね。


今週は母親の通院と歯のメンテナンス。
by 16mm | 2013-03-17 20:01 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Trackback | Comments(2)
Commented by chata at 2013-03-18 18:57 x
ツレうつは嫁が観たがってるのです。
堺雅人の舞台をみてからというもの、ヤツのファンらしくw

テレビ版はほとんどノーメイクの藤原紀香と、ネプチューン原田泰造がかなり良かったです。さすがNHKドラマですわw
Commented by 16mm at 2013-03-18 21:56
■re:chataさん
>ツレうつ
......
なんとかしたいが、wowowで録画したのをプロテクト外すやり方がいまだに分かりませんw。
ただいま研究中でございます。
映画版、すごくよかったですよ。堺雅人もいいけど、宮﨑あおいがやっぱいいですね。

ほほう。
TV版もあったですか。
探して観てみマッス。


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