『アストロ球団』『スリーピー・ホロウ』『ローレライ』『モーターサイクルダイアリーズ』

『アストロ球団』TVのDVD録画。
決して上手くはない古田捕手のナレーションから始まって、千葉真一が出て、工事現場で沢村栄治の銅像が発掘されて、ってな感じの第一回であったがテンポがタルくて観てられなかった。
ので、これから面白くなっていくのかもしれんが、今後の視聴は中止である。


『スリーピー・ホロウ』DVDを引っ張りだして久しぶりの再見。
やはり面白い。あの彩度を落としたメイクアップや全体の雰囲気がオイラの好みである。
そしてなによりも物語の重層さである。人間関係の複雑さもさることながら、近代と前近代を対峙させ、一方的に近代を勝ちにしていない所が良い。理性や科学が万能と信じるだけでは自分の周りの人間でさえ理解できないという事は「まさか、あの人が殺人を」という事態が起こっている事で分かるであろう。
科学というものが発生する前は迷信や魔法が科学であり、そして科学というのは新しい学説が発生するまでの迷信と言えなくもなかろう。

来月に同監督と同主演で『チャーリーとチョコレート工場』の公開が始まる。
ジョニー・ディップは大したものだ。顔つきも立派で整っているのに、奇抜なキャラクターでも違和感無く演じてしまうのだから。
この人オスカー取れないのは、達者すぎていつでも取れるだろうと思われてる所為かもしれんな。


『ローレライ』DVDを購入。
やはり上川隆也のナレーションはいらないと思う。
『宇宙戦争』もそうだが、ナレーションを必要としないほどの映像を説得力があった事を、製作した人間は自信をもってもらいたいものだ。
ちなみに『亡国のイージス』の冒頭の音楽もいらん。雨音と役者の演技だけで十分だ。余計なナレーションや音楽はかえって映像への集中を阻害する。

劇場で観た時と比べてあのパウラ役の女の子が、なかなか良く見えたのは収穫であった。前半と後半では物語の作用もあってか眼の輝きが違う。特にラスト近くで艦長とN式への乗艇のやりとりをしてる時のパウラの眼のキレイなこと。顔つきも非常に良かった。
だが、この女の子にあまり台詞を与えなかったのは正解だろうなと、僅かな台詞回しを聴いて思った次第(笑)。

ヘッジホッグが海上から落ちてくる描写や、折笠がパウラを外に連れ出した時に見える風景の描写の美しい事。

それからコメンタリーで言っていた事だが、"艦長"という発音は多くの人が間違って発っしているらしい。"浣腸"(あるいは"干潮"でもいいかもしれんが(笑))と言う時の発音と同じなのが正しいらしい。
台詞の発音としては正しいのだろうが、聞き慣れてないと「浣腸」に聴こえてしまうのは自分の無知だと戒めよう。

では最後に、「みんなの心に浅倉大佐」(笑)


『モーターサイクルダイアリーズ』をレンタルDVDで視聴。
実はTシャツの絵柄になっている人ぐらいの事しか知らないのだ、チェ・ゲバラについては。
この映画で医学生で喘息持ちのゲバラが、若い時南米を旅したあったという事が分かった。
これが単なる若造の旅行記映画というのであったなら、これほど映画的な快感はなかったであろう。これが後に名をなす人物の若い頃の話という意味があるからこそ関心も惹いた事は否めまい。
非常に面白い良い映画であったとは思うのだが、この映画の感想をその後の彼の思想や行動を抜きにして語っていいものなのであろうか?オイラのように彼の思想や行動の意味を知らない人間が。

チェ・ゲバラというキューバの革命指導者であり、投獄され、最後はCIAに謀殺?された人間の、ある意味モラトリアムな若い時期を映画はスケッチしていく。
バイクをめぐる描写が良かった。ノートン(このバイクのエンジンが良い音させてたなあ)に大荷物を積んだゲバラと親友のアルベルトの二人乗り。埃にまみれ、良く転び、人間もバイクも傷だらけになり、その度にその場しのぎのように直して乗って行く。
そして最後(映画のラストではない)は鉄屑としてなら金になると言われ、持ち主のアルベルトがそれこそ大粒の涙を流してバイクと別れる描写の切なさが切々と伝わって来た。
自分がよく使う"官能性"というのはこういう事なのだ。
こういう描写はバイク好きでないと撮れないだろう。
数秒であったが『キャシャーン』のバイクシーンでアクセルを開けるタイミングと加速するタイミングが合ってないのが妙に気になったりしたものだ。この監督はバイクを知らねえな、と(笑)

その後いく先々で会った人達との交流やハンセン病棟での話なんかもあるのだが、オイラはやはりオートバイに乗ってる彼らの印象が強かった。後半のエピソードがつまらないというわけではないが。

ラストにゲバラ達が会った人々がモノクロでまばたきをしないで画面に映し出されていく。
モノクロというのは画面の効果として過ぎ去った時間や失われた過去を描写するのによく使われる。
これが意味するものというのはどういう事かは分からん。
なんとなくゲバラがその生涯で果たせなかったなにかなのかもしれん、と思ったりしたのだが、どーか。

1967年。ゲバラが処刑された年にオレは生まれたわけか。
by 16mm | 2005-08-21 22:27 | 映画・DVDの感想など。 | Trackback | Comments(2)
Commented by ayrton_7 at 2005-08-25 00:35
僕のブログの方にコメントありがとうございます。
EOS 5Dなんとかしてゲットしたいです。
Commented by 16mm at 2005-08-25 08:53
ayrton_7さんへ。
オイラもホントに喉から手が出てるんですけど......40万円。
性能に比すればコストパフォーマンスは良いのでしょうが、40万円(笑)
オイラがこれまでに買った一番お高いカメラがハッセルで38万円ぐらい。
レンズや周辺機器を揃えるとやっぱり結構なお値段なので、ちょっと脚がすくんでますw
でもすごく魅力ですよね〜。


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