『この世界の片隅に』

先週の日曜日あたりから風邪気味。
喉の痛さや関節の痛さダルさは月曜日にカプセルホテルでサウナに入り、更に火曜日の朝にユンケルの高いヤツ(笑)を飲んだらかなり改善された。
やっぱりユンケルはすげえ(笑)。
しかしそれから風邪クスリやら果物やらビタミンCやらをたらふく取り込んでもか完治はしないで今にいたる。
熱は怖くて計れず(笑)。
今はなんとなく喉がガラガラしてるのと鼻水ぐらいか。
寝込むまではいかないのは初期症状でウィルスを色々叩いたおかげだろうか。
それでも先週土曜日のひと月ぶりの歯のメンテは延期させてもらった。
といいつつ、マスクをして土曜日に映画には行ったのだが(笑)。
毎週の習慣である週末の銭湯通いができないのも無念なり。


ゾクゾク Nerf リペイントできるかな?(笑)-03
風邪気味で進行せず。


『げんしけん(21)』
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『げんしけん』も本巻で最終となった。
創作をするということの呪いというか"業"というか"性(さが)"突き詰めたシリーズ前半は非常に共感を持って読むことができた。
安直に「クリエイターですう」とか「モノ作りをしてます」などと言う人間には分からない部分。
誰かを不幸にする可能性があっても描きたいという衝動を抑えきれない苦しみというもの。
その覚悟がなければ安易に「モノ作り」などと言っていいわけがないのだ。
ましてや不特定多数の社員がいる会社のスローガンにするなど言語道断。
そんなものを会社のスローガンにするなんてのは「モノ作り」というものの本質を分かってない愚かな人間だと思う。
「モノ作り」などというものは、あくまでも個人的なものであり、知らない誰かを傷つける可能性があると言うことを覚悟して悩み引き受けたものだけができることだ。
それらをテーマに若造供の青春や恋愛を描いた秀作である。
ただ、タイトルに『二代目』とついてからのテーマはオイラの興味から外れてしまったせいか、どうも感情移入ができずじまい。
それでも最終巻まで買い続け読み続けたのはオイラにも納得できる部分がある筈だと言う希望と、最初のシリーズをうんと楽しませてもらったお礼であった。


『この世界の片隅に 劇場アニメ絵コンテ集』
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とにかく厚い(笑)。
厚さ45mm。国語辞典と同じぐらいじゃないか(笑)。
まあアニメーションの絵コンテはそういうものだ。
映画にしていく為の設計図であり、アニメーターをはじめとするスタッフの認識を共通化させるためのもの。
多くの場合、絵コンテとは言いつつ、キャラクターは丸チョンで描かれた簡略化されたものが多い。
場面の情景なんかもト書きで説明。
アニメーターが絵コンテを描いた演出家なり監督の意思を汲み取って原画を描く前にレイアウトという原画サイズの絵を描いてそれを演出家に見せて承認を得る。
で、そのやりとりを最小限にしようとしたのが、おそくら宮崎駿。
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宮崎駿のは絵コンテ段階でアニメーターに迷いがないぐらいに構図、画角、キャラクターの表情、セリフのタイミングまでもが事細かく指定されている。
アニメーターはこの絵コンテを拡大コピーしてレイアウトにして原画を描く。
アニメーターが演出家の意図と違う原画を描く危険性とレイアウト段階でアニメーターが悩まずに済む利点がある。
が、アニメーターは宮崎駿のコンテに100パーセント縛られることになるので上手いアニメーターほど窮屈に感じるだろう。
まあ、最近はここまで細かく描いた絵コンテも珍しくないようだが、通常はここまで絵コンテ段階で細かく描かない。
TVアニメの場合なら細かく描く時間がないというのと、画を描けない演出家もいるから。
宮崎駿の絵コンテはほとんど通常の漫画と遜色のないぐらい読み物として素人にも分かるように描かれている。
なのでオイラなどは宮崎駿の絵コンテを演出の教本というよりは、純粋に読み物として楽しんでいる。
ところで『この世界の片隅に 劇場アニメ絵コンテ集』は宮崎駿的な絵コンテとして素人のオイラでも読み物として読めるものになっている。
監督の片渕須直が宮崎駿と長く仕事をしていた人間ということもあって、細かく描く絵コンテの利点というものを熟知しているのだろう。
おそらく絵コンテのラフを片渕監督が描き、監督補の浦谷千恵がクリンナップしつつ具体的な画面構成を描いたんだと思われる。
オイラにとって本書は映画の辞典のようなもので、映画のあのシーンのあのセリフはどう言う意味だったかを反芻し調べるためのものになっている。
恐ろしく情報量が多い本作、例えばクライマックス近くの
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ちなみにあらかじめ言っておくが韓国の旗が立ったからって「朝鮮進駐軍」の描写とかいう意味は全く無いからな。
本作は政治的な要素というものは一切排除されている。
ただただ何年何月何日に何があって天気はどうだったか?という考証を徹底的にやっていると言うだけの話で、敗戦の日に太極旗が呉に上がったと言う事実を描いているだけだから。
で、このシーンって原作漫画と映画では微妙にセリフが違う。
そして映画の方はセリフを付け足してさらに すずさんのいる世界と言うものを映像と聴覚とで観客に対してもう少し踏み込んだかたちで感覚的に訴えかけるように作られている。
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この すずさんの慟哭のカットはコミックと同じアングルで映画も描かれている。
非常に悲しいシーンだけど表情といいアングルといい、すべての要素が合わさって素晴らしいカットになっていた。


『吾輩はガイジンである。――ジブリを世界に売った男』
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著者はスティーブン・アルパート。
と言っても知らない人が多いだろう。
オイラも知らなかった。
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宮崎駿の映画『風立ちぬ』で上の画像の謎のオッサンの声の人だと言えばわかりやすい。
スティーブン・アルパートは本職の声優ではない。
スタジオ・ジブリの海外事業部にいたという。
この人がスタジオ・ジブリで働いていた時の事を書いたのが本書だ。
実はまだ読了していないのだが、所謂"ガイジン"さんから見た日本の会社という部分と、宮崎駿などと仕事で付き合っていたことによって得られたであろう知見が非常に鋭く読んでいて興味深い。
冒頭
"「無」とは、加工すべき「もの」がないことを意味する。原料を買い、いりいろ手を加えて原形を変え、できた製品を売って利益を得る---それが標準的なビジネス・モデルである。自分のアイデアの力と想像力から出発し、それを意志の力で「形」のあるものにするのはビジネスとは呼ばない。それはアートである。聞かれるたびに、私が勤めていたスタジオジブリは本当の意味で会社ではないと私が答えるのはそのためだ。会社はあくまでもビジネスの場であってアートを創造するところではない。しかしスタジオ・ジブリは初めからアートを作り出す場であった。"
非常に冷徹な分析だなと思ってこの本をきちんと読み込もうと思った次第。
ちなみにこのスティーブン・アルパート、日本語を習ったのは京都の女性らしい。
だから日本語でありながら不思議なイントネーションを感じた。
で、この人が言うには自分がよく日本語で喋るとゲイっぽく思われるのは言葉遣いや抑揚の見本が女性だったからではないかと言っている。
なるほどねえ。
外国語を習うなら喋れればいいと言うわけではないということを考えれば誰に教わるかと言うのも結構重要なのだなと思った。
それでも、誰に教わっても独自の個性になると考えればいいのかもしれんが(笑)。


『もう一つの「バルス」 -宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代-』
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著者の木原浩勝という名前は
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『天空の城 ラピュタ』劇場公開時に発売された↑の『映画天空の城ラピュタGUIDE BOOK』に出ていたので知っていた。
上の本で著者は製作中のクソ忙しい時に結婚したと書いてあったっけ(笑)。
その木原が『天空の城 ラピュタ』制作時の思い出を綴っている。
本書は木原の職歴を若干加味しながらスタジオ・ジブリで制作進行の仕事について、制作進行という職種そのものについて、宮崎駿の人となりなどを書き綴っている。
この時期の宮崎駿の驚異的な創造力。
絵コンテが最後まで完成する前での原画作業のスタート。
つまり大筋の物語のアウトラインは出来ていたとしても、枝葉になるエピソード案をいくつも考えて吟味する粘り強さ。
例えば木原に、決して裕福では無い筈の炭鉱町でドーラ一家はどうやってオートモービルを調達したのか?というツッコミに対して嬉々として理屈を説明する宮崎駿。
映画には描かれないがその描写を支える理屈をきちんと考えていて、それを誰かに指摘してもらって説明したいと思ってるんだな、宮崎駿は(笑)。
とにかく待った無しで絵コンテを最後まで描かなくてはならない時期に、それでも複数の物語の道筋を探って、探りながら驚異的なスピードで前に進んで行く。
やはりすごい人だったんだなと思う。
そして本書は当時大活躍したアニメーターの金田伊功や二木真希子についても語っている。
両者とも今では故人だ。
二人はアニメーションの職種でいえば"原画"という花形パートだが、木原はさらに『天空の城 ラピュタ』オープニングの最後の動画作業に携わった人の名前を文中であげている。
"テロップに名が残されても、その功績が語られることはほとんどないのが動画の仕事だ"
いや〜もう、その通りだと思う。
よくぞ名前を書き残したと思う。
「動画チェック、何様だ!!」
とひどい言い方をする宮崎駿は口先ばっかりの人だとがっかりしたもんだよ。


『この世界の片隅に』
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先週土曜日、109シネマズ菖蒲。
二度目の鑑賞。
ネットを中心とした口コミであろう、ヒットしつつあるようで
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劇場で絵葉書、もろた(笑)。
ついでに久々にパンフも買った。
劇場の入りは席数の四分の一ぐらいだろうか?
それでもいい。
本作に足を運んだ人はみんなエライ(笑)。
オイラは自分の両親にも観に行けといってあるので今週中に行くであろう。
オイラとしても70〜80歳代の人がどう思うかというのも関心がある。
それからね若い人にも観てもらいたい。
絵柄が好みでは無いとか、そもそもアニメが苦手だという人もいるだろうけど観たら絶対に好きになる。
キネマ旬報レビューオール星5。
宇多丸5千億点。
ついでに町山大賞(笑)。
世間の評判もこんなにいいんだぞ(笑)。
二度目を観て感じたのだが片渕監督による音響の演出がすばらしい。
日常の小さく優しげな音響が空襲では一変して、破裂音とでも言うのか、機銃掃射や爆弾が落ちて行く音。
高射砲弾が弾ける音。
ギョっとするぐらいにその音の存在が怖く感じた。
おそらく戦闘機の音も機関銃の音も爆発する音も今まで聴いたことがないような新鮮な音だったように感じた。
実音の機関銃の音など聴いたことがないのでリアルかどうかは置いておいて、はっきり言って怖く感じる音でしたよ。
さらに言うと すずさんの声をやった のん(能年玲奈)の上手さ。
ふてくされ、笑って、のほほんとして、怒って、悲しんで、慟哭して......。
もう すずさんの実在感の半分は作画と演出の功績とするなら後の半分は のん(能年玲奈)の功績だよ。
よくぞこんなにも愛おしい人物を作り上げた。
更にいうと、本作をサポートしたクラウドファンディングに参加した人たち。
あなた方もエライ。
頭を地面にぶつけるぐらい頭を下げてもいいぐらい。
あなた方のサポートがなければオイラなどは本作に巡り会うこともなかった。
クラウドファンディングで本作がお金を集めているということを知らなかったが、正直なところ片渕須直のことは、大昔『名探偵ホームズ』の脚本家として宮崎駿に見出された、ぐらいにしか思ってなく。
クラウドファンディングの件を知っていても金を出していたかどうかオイラは怪しいわけです。
原作も最近知ったぐらいだから、多分お金は出してなかったよな。
で、本作にお金を出した人、エンドクレジットとパンフにちゃんと名前が出てるんだよ。
浅ましい話だが、すっげええ羨ましい(笑)。
おそらく宮崎駿の映画に比べたら実質的な制作費もささやかなものだっただろう。
中盤で すずさんと周作がデートするカットがぜんぶモブが止め画になっていたからねえ。
それを作画する予算も時間もなかったと思うと泣けてくるね。
宮崎駿の『風立ちぬ』の関東大震災のモブは全部動いていたのにね。
それでもそんなことは本当に些細なことだ。
反戦とか反反戦という軸抜きで戦争と戦時下というものを描いた傑作だと思う。
おそらく、時間をかけてでも人々に記憶されていく映画であると思う。
とにかく、観てないヤツは観ろ(笑)。
本作を観たら宮崎駿など御呼び出ないと思えるぞ。


風邪気味ゆえ、このへんで。


今週末は歯のメンテナンス。

by 16mm | 2016-11-27 21:45 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Trackback | Comments(2)
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Commented by chata at 2016-11-28 22:06 x
二代目げんしけんはみてないのですが、彼らのその後も気になるのでいつかまとめてみたいです。

>とにかく、観てないヤツは観ろ(笑)。
ああ、久々に聞く台詞だわァw

『コードギアス 復活のルルーシュ』製作らしいです。谷口&大河内で。
Commented by 16mm at 2016-11-29 08:36
■re:chataさん
『二代目』は恋愛モノにシフトしたもので、めんどくさいカップリングをめんどくさい理屈を並べた感じで、興味があまりもてませんでした。
最初の『げんしけん』のキャラクターも出てきますがあくまで脇なんですけど、オイラからすると新キャラに感情移入ができなかったです。
それでも最初の『げんしけん』の流れの通り、オタクをキーワードにそれを肯定する強烈な理論武装はされていて、興味がある人にとっては共感しえたんだと思います。

>とにかく、観てないヤツは観ろ(笑)。
いやいや(笑)。
『プラネテス』を勧める言葉に
「観てないやつはちねばいいのに」
とおっしゃった人もおりましたから(笑)。
で、ちにたくないので観たら見事にハマッたわけでした(笑)。

谷口&大河内でも新しい企画ってできないんですかねえ。
『ギアス』が悪いとはいいませんが、結局『ガンダム』しか作らせてもらえないトミノみたくなっちゃうのかしらんと思うと残念な気分です。
谷口&大河内ならオリジナルで絶対面白いものが作れると思うんだけどねえ。


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