『原点 THE ORIGIN』『ゴースト・イン・ザ・シェル』

先週土曜日、歯のメンテナンス。
いつものように美形で剽軽なドS歯科衛生士女史に歯石をとってもらう。
この時期の歯茎からの出血は磨き残しというよりも季節の変わり目による体調の要因が多くて、無理に歯ブラシで擦ると余計に歯茎が萎縮するので気をつけるようにとのこと。
そしてその歯科医院の先生から歯科衛生士諸氏までとことん嫌われている某歯磨き粉を頂く(笑)。
名前は伏せるが、この蛇蝎のごとく嫌われている歯磨き粉を私が好きなもんだから試供品を大量に貰い受けホクホク(笑)。
先生からドS歯科衛生士女史にいたるまでなぜオイラがこの歯磨き粉を使い続けられるのか解せないようで(笑)。
つまりアレだ、オイラがドMだからじゃね、ということになっているらしい(笑)。
メンテ後、先生と雑談。
先生から
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『SWITCH Vol.35 No.1 荒木経惟 ラストバイライカ』を頂く。
買い損なっていたもので、読み応え見応え十分な内容。
オイラはいわゆるスナップ写真を自分で撮るという事にはまったく関心がないのだが、良いスナップ写真を見るのは好きなのだ。
ではオイラにとって良いスナップとはなんなのか?ということを言語化できずにいた。
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掲載されていたこの画像を見て思った。
「ああ、オイラはスナップに写込まれたユーモアのあるものが好きなんだ」
と。
ユーモアのある表情、ユーモアのある状況。
フッと微笑んでしまうようなユーモアのあるスナップが好きなんだ、オイラは。
このおそらくこのユーモアを写真に撮れるというのがセンスであり強運であったり技術的なレベルの高さが必要なのだろうと思う。
それ以上に常にカメラによって世の中を見ようとする意思が必要だ。
ユーモアというものは瞬間。
ちょっとしたタイミングでしか現れないものだと思う。
それを写真に撮れるというということの稀少性にスナップの魅力があるのだと。
で、オイラはそのようなスナップを撮る能力などが全く備わっていないということを自覚せざるを得ないなと思った(笑)。


本日日曜日、銭湯に寝湯、ストレッチ。


いつまで続くかわからんが"Unreal Engine"のお勉強をチョボチョボと始めたい。


『原点 THE ORIGIN』
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読了。
なんだよ、Kindle版出たんじゃねーか(笑)。
出るなら出るって最初から告知してくれればいいものを。
この手の本を買う奴は電書が出たらでたでKindle版も買うだろう、と見透かされているようでくやしい(笑)。
電書が出たら電書も欲しいけど2000円近い同じ本をもう一度買うのもねえ(笑)。
そのうち忘れた頃に買うとする。
本書はオイラには珍しくザッピング的に目次のタイトルで気になるところから順不同に読まず、最初から最後までをページ順に全部読み切った。
久々に本を付箋だらけにしたな(笑)。
読みやすい上にオイラの世代の憧れの画師である安彦良和についての人となりについてかなり突っ込んだ内容になっている。
アニメーターや漫画家としての安彦良和という部分より、安彦が若い頃どんな人間であったかに深く焦点を当てている。
生い立ちから大学生の頃を中心に。
つまりアレだ、学生運動家としての安彦良和についてだ。
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なのでカッコよくて可愛いキャラクターを生み出す安彦良和をアニメーションを主体として書かれているわけではないので、安彦キャラには興味あるけど安彦良和自身には興味無いという人にはオススメできない本である。
だいたい安彦の初監督作品である『クラッシャージョウ』については全く触れられてないのだから(笑)。
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オイラが中学三年生の頃に買った安彦良和の一番最初の画集には安彦自身の生い立ちを漫画形式に描いていて、そのなかで
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自身の学生運動への関与が描かれていたのだが、見ての通りユーモアを交えた描き方だったので読み手のオイラも当時から今までそんなに深刻に受け止めていなかったのだが......。
そもそも60年安保にしても70年安保にしても、その時何で揉めていたいたのかは薄っすらとは理解できるんだが、一番分からないのはその当時の時代の雰囲気。
安彦をはじめとした当時の若者の気持ちが理解できない。
オイラが関心ある有名人でいえば、ビートたけし、押井守、宮崎駿などが自らの体験として語る学生時代の光景も、同じものとは思えないようなニュアンスの違いを感じる。
まあ上記のうち押井守は世代自体が宮崎駿たちと違うわけだけど。
それぞれの思想信条も違うからニュアンスが違うのは当然なんだが、それでも中庸という部分がありそうなものだが、その中庸がボヤけて見えるのだ。
これまでその時代を舞台にした映画や小説や漫画を観たり読んだりしてきたんだが、その
「われわれわぁ〜」
「ナンセンス」
「自己批判」
「ナニナニならなければ〜ならない〜」
などというしゃべり言葉からして現実味をもって理解することができなかった。
"こんな喋り方をしていた若者達がいたんだ"
という部分でどうもピンとこない。
本書を読むと安彦自身もそれらの口調を含めた学生運動家たちの物言いに違和感を感じていたらしい。
安彦によると学生運動家達の口調やイデタチでは学生運動家以外の一般大衆には伝わらないと当時から感じていて、安彦自身はハンドマイクで呼びかける時も穏やかに平易な言葉で語りかけたという。
当時の学生運動家達は年齢的に会社を定年退職した人たちが多いと思う。
オイラの知っているその年代の人たちに関して言えば、自分は学生運動でブイブイ言わせた、と吹聴する人(真意のほどはさておき)、オレ達は戦ったのに近頃の若者は戦わない腰抜けだ、と嘆く人、そして安彦たちのように自分たちの若者の頃の話を封印したかのように黙して語って来なかった人。
本書は”語らない”ということを選択してきた安彦良和達が、自分たちのことを正当化せずに当時のことをささやかにでも語るべきだという覚悟の書だ。
それは当時の学生運動をしていた世代が随分と景気のいい事を言って社会に対して妙な焚付け方をしていると感じている部分があったのではないだろうか。
あの学生運動の果てに否定できない悲惨としか言いようがないものもあったのだ。
自分としては本書を読んでいまいちピンとこなかった当時雰囲気を理解するための手がかり足掛かりになったと感じた。
本書、読みやすい上に結構な資料的な価値があると思う。
オイラは巻末の安彦と彼の盟友との対談がよかったと感じた。
こういう考えの人たちもいたんだな、と。
本書を読んで安彦良和が今まで以上に好きになったかな。


『ゴースト・イン・ザ・シェル』
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先週金曜日、109シネマズ菖蒲。
3D iMAX版。
ネタバレあります。
オイラにとっては『攻殻機動隊』というタイトルの方が馴染みがよくて好きだ。
もともと士郎正宗が漫画として掲載していた頃に『THE GHOST IN THE SHELL』なるタイトルにはなってなかった。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』というタイトルは件の漫画が単行本化された際のサブタイトルのような位置付けだったと思う。
ただ『ゴースト・イン・ザ・シェル』というタイトル自体は悪くない。
金属で作られた頭蓋の中にある魂(ゴースト)という意味か。
"魂"として一般的な英語なら"soul"となるところだけど、それをあえて"ゴースト"としたことによってオイラには"魂"という概念を擬人化をべースとして理解しやすいように感じた。
"ゴースト"って幽霊って意味もあるもんね。
全身をサイボーグ化した未来の人類がぶち当たるであろう壁。
「自分は人間ではなく、脳自体も人工知能に置き換えられたロボットではないのか?自分には人間が持っているであろう"ゴースト"のない単なる人形なのではないか?」
その葛藤を原作者の士郎正宗は90年代前半で予見していた。
その頃で言えばウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』をはじめとした”サイバーパンク”のムーブメントがあり、さらにその前は『ブレードランナー』をはじめとしたフィリップ・K・ディックの小説もあったので必ずしも士郎正宗の発明ではないが、それでもネットワーク社会、インターネットが一般化する前に電気信号で世界を狭くする世界をヴィジュアル化してみせた功績は大きい。
なので『ゴースト・イン・ザ・シェル』というタイトルは嫌いではないのだが
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原作漫画では"攻殻機動隊"を"攻機"と略したセリフがね、なんともカッチョいいというか、"交通機動隊"の略称と同じところが良いなと思ったりしたのだ(笑)。
ちなみのこの"攻機"というセリフだが、最近の電子書籍版だと
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単なる"公安"というセリフに置き換えられちゃってがっかりなのだが(笑)。
それはさておき、1995年に公開された押井守監督作の
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『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は伊藤和典の見事な脚色のもと原作の持つ思想面と、当時の押井守の持ち味であった"浮遊する現実感"”虚構と現実の差異”などを入れ込んだ傑作であった。
その押井版の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』から思想的な小難しさを極力排除して銃撃などのアクションを正当化させる舞台としてのみ引用したのが
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『マトリックス』となる。
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ウォシャウスキー姉妹(当時は兄弟だったけど)が押井に必死でパクリではないと言っていたけど、おそらく誰もパクリだとは思っていまい。
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』をベースにパワフルなものを見せてくれたわけだしね。
肯定的に言えば『マトリックス』が『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』を換骨奪胎したリメイクだと言ってもいいのではないか、と思うのだ。
さて、前段が長くなった。
今回の
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『ゴースト・イン・ザ・シェル』についてだが、ものすごくカッタるい駄作だと思う。
ヴィジュアルの多くが押井版のヴィジュアルを実写化しただけという印象しかなく、非常に安っぽい。
それはCG自体のクオリティーのせいとも言えるのだが、それ以上に押井版を劣化させたようにしか見えない。
それなら徹頭徹尾押井版を真似て実写にすればいいものだが小難しい思想的な部分をライトに処理している。
本作では
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スカーレット・ヨハンソン演じる少佐は原作や押井版のように自分が人間なのか人形なのかという葛藤は持っていない。
自分は人間であるということは疑わず、自分がサイボーグ化される前は何者だったのか?という非常に悩みが矮小化してしまっているのだ。
それと
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公安9課の荒巻課長役のビートたけし。
ビートたけし好きなので悪口言いたくないんだが(笑)、荒巻課長だけ劇中日本語なわけ。
理屈としては義体化して電脳通信する上で言語の違いは自動的に変換されるということなんだろうけど、だったらさ、
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チン・ハンもアジア系の顔立ちなんだから中国語を話すことにしちゃえばよかったのだ。
ちなみにチン・ハンはシンガポールの俳優で日常会話は英語なのかもしれんけど。
それぞれが違った言語を話してそれが電脳を介して理解しているという風なら押井版にないフレッシュなものになったろう。
それがビートたけしだけ日本語というのに設定の安直さを感じる。
とにかく本作、縮小再生産された劣化版にしか思えない。
ここで疑念が生じる。
果たしてこれを作ったアメリカ人達は『攻殻機動隊』というものを理解しているのだろうか?
原作漫画の『攻殻機動隊』は日本人が日本語で読んでも面倒臭い漫画だ(笑)。
それを踏襲しつつある程度わかりやすくしたのが押井守の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』なわけだけど、おそらくアメリカ人はその押井版から分かりやすいアクションの要素しか抜き取らず、それ以外の人間か人形かのような葛藤の部分は理解してないのではないか?
『マトリックス』は主に『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のアクション部分を抽出して別物の映画を作ったと言えるかもしれないが、本作はどうどうと『ゴースト・イン・ザ・シェル』とうたっちゃってるから、それこそ漫画の原作や押井版の映画との差を感じさせられてしまい、劣化としか思えなかったのだと思う。
銃撃のシーンなどは良い部分もないわけではないが、押井版を越えるようなこともなかった。
とにかく観ている間、カッタるくてね(笑)。
観たいという人にはやめろとは言わない。
観ていてつまらないと感じた人に一言。
本作はエンドクレジットの後に『アベンジャーズ』のような追加カットはありませんから(笑)。
観ていてつまらないと感じたらエンドクレジットがかかったら席を立ってもオッケーよん(笑)

by 16mm | 2017-04-09 22:13 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Trackback | Comments(2)
Commented by chata at 2017-04-09 22:39 x
『ゴースト~』視聴お疲れ様でした。
ダメでしたかー。トグサが古田新太に似とる・・・w
レンタル旧作になったら観ますかねぇ。
Commented by 16mm at 2017-04-09 22:52
■re:chataさん
いっそのこと
トグサ→古田新太
荒巻→南部虎弾
バトー→スティーブン・セガール
だったら笑えたと思います(笑)。
スカーレット・ヨハンソンも『アベンジャーズ』での方が少佐っぽいと思うんですけどねえw


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