『町山智浩の映画ムダ話52 』『光』『LOGAN/ローガン』『パトリオット・デイ』『22年目の告白―私が殺人犯です―』

先週土曜日、歯の治療。
着けていた歯が取れたのでそれを取り付けてもらう。
いつもの美形で剽軽なドS歯科衛生士女史に歯石をとってもらうかわりに、取り付けた歯からはみ出たセメントをとってもらう。
治療後先生から
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3ヶ月待ちで手に入ったLeica M10を触らせてもらう。
実機を触るのは初めてである。
フィルムのLeica M7と同じぐらいの胴体の厚み。
Leicaをフィルム時代から使っている人には慣れた厚みかもしれんが、先生やオイラのように手がデカイと別売りのグリップがないと手持ちしづらいかもしれない。
電子ヴューファインダーも見やすくてピントのヤマも掴みやすい。
これならコンマキューゴーでもピントが合わせやすいだろう。
すんごく羨ましいが100万円近い価格はオイラには現実的に無理である(笑)。


『ザ・ファブル(10)』
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AmazonでKindle版購入。
おそらく3ヶ月おきの単行本発売のサイクル。
次は9月6日であろう。
今から楽しみだ。
雑誌掲載分は毎週立ち読みしていておそらく単行本にして2冊分ぐらいは先行しているのではないだろうか?
上の画像の不細工、というか(笑)、凶相な面構えのキャラクターを本作は実に魅力的に見えるように描いている。
こんな人相の悪い登場人物は普通真っ先に殺られるチンピラ役が普通なんだけど、このキャラクターを主役で面白い漫画を描くというのは作者の力量とともに表現する志みたいなものを感じる。
超凄腕の殺し屋であるファブルが一年殺しをしないで過ごすことで、普通に人間がもつ社会性や常識を身につけるというのがミッション。
当初は殺し以外には繊細な気遣いをしなかったファブルが次第に"普通"というものを自分の中に獲得していく。
人間になろうとしているピノキオみたいなものだろうか。
本巻ではファブルのなんともいえない良いヤツっぷりが描かれ、更に敵である
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このウツボという人間の複雑さ。
"盗人にも三分の理"というが、このウツボの言う事って現代社会の歪みを的確に捉え、その歪みを正すのではなくカネに換える。
相手はモンスター・ペアレンツとその両親に育てられて成人した大きな子供たちだ。
はたから見ればモンペからカネを搾り取れとエールを送りやすいんだが、ウツボのやってることは悪事であるからね。
こういう複雑な敵を相手にファブルがどう対処するのか?
ファブルが直接手を下して殺しをしたらこの漫画終わっちゃうので、そうじゃない対処をするのであろう。
だか非常にたのしみなのだ。


『白竜HADOU 2』
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AmazonでKindle版購入。
掲載誌ではクライマックスに達しているが単行本ではまだまだ当分続く"東都ガス" "東京・築山市場" "豊波移転"
そして
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石原慎太郎、もとい咲山都知事(笑)。
閉塞した現実をせめてファンタジーでは出し抜いた結末を味わいたい。
白竜はそれをヌケヌケとやってくれるところが読んでいて清々とした気分になる。


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町山智浩の音声解説を購入。
『LOGAN/ローガン』を観て世界観的に解りづらいと思ったのはこのウルヴァリンのシリーズをオイラが観ていなかった所為かとおもったら、この映画自体世界観の説明をわかりやすくしていないということらしい。
『X-メン』のなかで描かれる対立軸であるプロフェッサーXとマグニートーはアメリカの公民権運動でのキング牧師とマルコムXであるとか、劇中で描かれる「恵まれし子らの学園」のモデルなども解説されている。
『LOGAN/ローガン』で描かれる世界観がアメリカの現政権であるトランプが支配する暗い未来を暗示しているとか。
そしてローガンの最後のセリフ
"This is what it feels like"
オイラ、コレ英語だったし聴きもらしたというか、日本語訳でもなんて言ってたかおぼえておらん(笑)。
町山のこのセリフの解説を聴いたら泣けてきたよ。
涙出なかったけど(笑)。
Blu-rayでの再見が楽しみである。


『光』
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先週木曜日。
MOVIXさいたま。
遅ればせながらだが、前作の『あん』から俄然注目し始めた河瀬直美監督。
誤解を恐れずにはっきり言ってしまうが、今日本で一番美しい映像を作り出している映画監督が河瀬直美だ
前作の『あん』も映像的にすばらしかったが撮影監督が本作とは同じではない。
ということはこの美しい映像を作り出している要素は河瀬直美の才能や努力や粘りに他ならないということになる。
微動だにしないシャープな瞳のクローズアップ、多彩な色彩の風景の動き、西陽がガラスの風鈴を通して部屋の壁に舞う光、望遠レンズ効果を効果的に使ったクライマックスの波と人物、......etc...
ただ風景の良い場所にいって撮影しました、というレベルではない。
それを更に登場人物たちの心情とリンクする映像になるような準備や創意工夫がカットごとになされていんだと思う。
本作の何十倍も制作費を使った映画であっても本作の映像の美しさの足元にも及ばない。
多くの映画の映像設計が"光源の位置がここでここにガラスがあって鏡があるから光が反射するとこうなる"という現実をトレースしたものに終始しがちである。
それはそれで撮影のライティングの設計なども高度なものであるのは間違いない。
しかし河瀬直美の映像は、それらの自然主義的な発想から何歩も進んで、映像にある光や透明感や透過光などを面白く美しく表現したいという発想で作られている。
それは現実の中に隠れている美しさというものを信じているからに他ならないだろう。
制作費がふんだんにあれば美しい映像が獲得できるというのは幻想だな。
努力と工夫と表現したいイメージと幾ばくかの才能があればお金がなくても美しい映像は獲得できる。
写真を趣味にしているオイラにしてみればものすごく希望が持てる。
努力ぐらいならオイラでもなんとかできそうだ(笑)。
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本作は想像力に関する映画だ。
弱視や眼が見えない人たちの持つ世界観を理解する手助けになる。
眼が見えるオイラが見えない人たちを可哀想だというのは傲慢であるということもわかるが、この社会では見えない人たちはハンデを背負って大変だなという風にも思っている。
本作では見えないことによって強化された想像力というものを非常に肯定的に描いていると思う。
見える人間の代表として水崎綾女がキャスティングされているわけだが、彼女のように大きな瞳を持ってしても全ての事象を見ているわけではない。
弱視の人はこの映画の美しさを映像的に体験できないということの気の毒さというのはある。
が、もしかしたら弱視の人たちは映像以上に美しいものを脳内で像を結んでいるのかもしれないという風にも思うようになれた。


『LOGAN/ローガン』
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ラストのネタバレあります(笑)。
先週金曜日。
109シネマズ菖蒲。
すっげえ面白かった。
実はウルヴァリンが出てきた映画って
2000年の『X-メン』しか観ていない。
マーベルコミックの映画は結構観ている方だが『X-メン』に連なる方はあまり興味がなくて観てなかった。
『X-メン』以外だとマシュー・ヴォーンが監督した『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』になるがこれにウルヴァリンは
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ワンカット一瞬だけ出ていたのを観ただけ(笑)。
その後ウルヴァリンはスピンオフ形式で単独で映画になり、日本を舞台にしたりしていたが、オイラとしてはまったく興味がなかった。
なんというかコスチュームヒーローに今ほど興味が持てなかったというのがあったんだと思う。
で、そんなオイラがどうして今回観ようと思ったかというと
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このウルヴァリンの老成とも言えるヴィジュアルに持って行かれたんだよね。
オイラもこないだ50歳になった所為かもしれんが(笑)この人生の黄昏を意識し始めた時の気分にマッチしたのかもしれん。
決して
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若くてギラギラしているウルヴァリンだったら観たいと思わなかったろう。
ヴィジュアルがそうであるように、本作はX-メン達ミュータントの黄昏を描いている。
もともと老成したジジイみたいだった
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プロフェッサーXも本当にジジイとなりアルツハイマーになってると。
なので彼が持つ強力なテレパシー能力をコントロールできなくなっているわけ(笑)。
言うなれば制御不能な大量破壊兵器になりつつあると(笑)。
この特殊能力を持った人間たち、ミュータントは人間よりもある部分強く特化している存在だ。
しかし、彼らは他の人間たちに比べれば数的に圧倒的なマイノリティであり、迫害される存在でもあるのだ。
これも一種の現代の状況の暗喩であろう。
そんなマイノリティな存在に対して希望をつなぐ物語であり、迫害に対しての戦いを意思表示していると思う。
で、老人たちは次世代の若者たちに強い生き様を残していく。
ほいで、まあ詳しくは言わんけど、最後に十字架が出てくるわけ。
それをラストでちょっと傾きを変えるわけよ(笑)。
もうそのヴィジュアルみたら鳥肌立って号泣ですよ、オイラ。
涙でなかったけど(笑)。
一つの要素から別の意味を引き出す展開というのがオイラはたまらなく好きで、あの福井晴敏の『Twelve Y.O.』のクライマックスのあの展開みたいにね。
とにかく今エンターテインメント作でならイチオシと言っても良いと思います。
オススメである。


『パトリオット・デイ』
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先週金曜日。
109シネマズ菖蒲。
予備知識ない上にこの主演のマーク・ウォールバーグが素行的にというか人間的に好きになれないので(笑)スルーするつもりだったが、監督が『キングダム/見えざる敵』のピーター・バーグなので観に行くことに。
とりあえずシネマ・ポイントが溜まっていたのでそれを使った(笑)。
非常に面白い映画だったと思う。
これはBlu-rayで再見してもいいかな。
前半、無関係に進んでいた複数の登場人物たちのエピソードが終盤に向けて結びついていく。
特に中盤以降は飽きさせない展開。
夜の路上での銃撃戦の音響も良かった。



『22年目の告白―私が殺人犯です―』
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ネタバレありません。
先週土曜日。
109シネマズ菖蒲。
予告編を観て興味をもっていた作品。
本作って入江悠が監督だったとは。
多作な方だし、売れ線の映画も監督してるんだから監督の名前を大きく予告編にいれてもらいたいよな(笑)。
オイラとしては藤原竜也はともかく伊藤英明がキャスティングされた映画を理由なく観ることはないんだから(笑)。
本作、撮影にドローンが多用されている。
ビル街の高所で空撮なんてヘリコプターでも難しいし、クレーンだと更に制約が出てくるところを非常にうまくドローンで撮影しているようだ。
安定性もあるし、ビルの屋上すれすれに動くカメラワークなども可能。
実際カメラはどんなの積んでるんだろうか?
業務用のビデオカメラか、キヤノンのデジイチを動画で使ってるのか?
スティディカム並みの技術革新ではないかね?ドローンでの撮影って。
かなりの安定さがあるようなので空撮ではない地上でのドリーショットでももしかしたら使えるんじゃないかな。
地上すれすれから一気に高所への移動撮影なんかも可能だけど、そうするとライティングが難しくなるかもな。
で、映画だが、なかなかの力作というか面白かったよ
上映始まったばかりだからさすがに顛末を語るのは憚られるのでなにも言わんが(笑)。
さすが入江悠だな。
体験したことがないのでリアリティがあるのかないのかわからないが、復讐の情念というものを描いている。
胸くそが悪いので名前を出さないが一昨年あたりにもいましたな、恥知らずの自己顕示欲の殺人者が本出したり気持ち悪いHP作ったり。
本を出版する人間は事件の真相解明の為とか言ってるけど、嘘っぱちである。
愚かな殺人者という以外になにか解明するべきものがあるのか?
重要なのは無残に殺された人がいるという事実だけだ。
大衆の下衆さを煽って金儲けしたいだけだろ。
本を買うことで殺人者に印税が入るのも気に入らない。
『葛城事件』でもあったが死刑囚やそれに準ずるような人間をちやほやしたり婚姻を結んじゃうような人間ってどういう了見なんだろう。
昔で言えば上祐史浩をちやほやして持ち上げてファンクラブたいに群がってたオネエちゃんたちとか。
キミたちがもちあげているヤツは大量殺人の片棒を担いていた人間かもしれんのだよ。
それによって身内を失った人が多勢いるなかで、そいつをチヤホヤし持ち上げられる自分の心の大きさとか普通の人が見えない特別なものを自分は見る事ができていると思っているのだろか?
自分が特別な愚かな人間であるという認識はできないんだろうな。
閑話休題。
映画はエンターテイメントとしてよくできているし楽しめましたね。
オススメであります。


今週末は歯のメンテナンス。

by 16mm | 2017-06-11 23:06 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Comments(2)
Commented by chata at 2017-06-11 23:42 x
今回は良作が多かったようでなによりですw
ローガン評判良いですね。プロフェッサーも出るとは。
Commented by 16mm at 2017-06-12 06:06
■re:chataさん
おかげさまで観た映画全部に満足できました。
『ローガン』はすごく良かったです。
アメリカではすでにBlu-rayが発売されているようで、その中にモノクロバージョンも同梱されているらしく、それのサンプル見たらすごくよさげだったので日本発売版でも出してもらいたいと思ってます。


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