『AK』『チャーリーとチョコレート工場』『FF VII ADVENT CHILDREN』『SHINOBI』『王立宇宙軍』

まったくそれぞれに関連性がなさそうであるが、映像の"リアリティ"というものをまとめて考えるのに適した鑑賞であった。



『AK』は『ラ・ジュテ』のクリス・マルケルが監督した黒沢明の『乱』のドキュメントである。
wowowでの録画をDVDにコピーして視聴。
ドキュメンタリーはノンフィクションであるなどとセンチメンタルな事は言わない。が、甲冑を装着しているクローズアップや、役以前に素の顔になっている無名の役者達の横顔は皮肉にも本編以上のリアリティーを持って描写されていた。有名役者ではなく雑兵役の無名の役者達が生き生きとしている様が撮影されている。
これが着眼点だとか切り取り方であるとか編集の妙というものであろう。さすがに上手い。
しかも、このドキュメンタリーが非常に(必要以上に)謙虚な姿勢で制作されているのがナレーションでも分かって好感を持てたが、果たして本編がこのドキュメンタリー以上のリアリティーを切り取れていただろうか。
冒頭、口をヘの字に結んだクロサワを映していたが、このスゴミが実写のリアリティーなのかもしれんと思った。
■〔映画鑑賞メモVol.3〕『ラ・ジュテ』(1962/クリス・マルケル)



『チャーリーとチョコレート工場』。劇場で鑑賞。
ティム・バートンの映画に雪はよく似合う。
映画は面白かった。
片方で荒唐無稽なおとぎ話の体裁を取っておきながら、もう片方はちゃんとリアリティーの地面に着地している所はさすがである。
リアリティーとは、この映画を信じ込ませ観る側を惹き付けるものの事を言う。
この映画は、夢のようなチョコレート工場をある意味悪趣味な装置として機能させている。
なぜなら、この映画の原作が発表されたのは1964年。ひと昔もふた昔も前だ。2005年の現在においてチョコレートなんて夢でもなんでもない。駄菓子屋で安価で売られているのだから。
現代で大真面目にチョコレートを夢と考えるのは無理がありすぎるのである。劇中でも貧乏主人公以外はチョコを夢と捉えてはいない。単なるチョコレート以上に魅力的な菓子は巷に溢れているのだから。
ある意味節度と謙虚さの喪失とも言うべき事態なのであろう。
しかし、貧乏主人公やウィリー・ウォンカや、そしてティム・バートンはチョコレートを食べた時の感動を忘れてなかった。
チョコレートの夢を謙虚に思い起こす事が出来ない者達への鉄槌の映画とも言えなくない。
チョコレートの川に落ちたガキなんて、ウ●コに塗れてような感じだったしね(笑)
たぶんチョコ以外のものを連想するように作られている筈だ。



『FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN』。DVD購入。
2年も前から楽しみにしていたものだ。
カット毎に静止させたときの一枚絵はすばらしい。
だが最高の一枚絵を繋いでも映画にはならないということが改めてはっきりした。
映画としてピクサーの諸作<『Mr.インクレディブル』でもいいが>と比べると、超一流のプロ(ピクサー)と学生映画ぐらいの差がついていると思う。
CGやアニメーションはその媒体の特性として物理法則や物理限界を超えた描写が簡単に行える為"実写の映像"に比べて現実感を観る側に与える事が難しい。
この映画でのスピード感溢れる激しいアクションには重みが無く軽い。これは動きのタイミングやスピード、そして"タメ"の問題であろう。全てのアクションに重さが無いわけでなない。動きに全体としての統一感が取れてない。アニメーションで言う所の作画監督的なパートが無かったか機能してなかったかではないだろうか。
なんでもありのアクションだと観る側に緊張感がなくなるもんだね。演出は行き当たりばったりで楽かもしれんが。
一枚絵として静止画にして後数回観るかな。



『SHINOBI』。劇場で鑑賞。
今年の春に雑誌で観たスチルが興味を惹いたのだ。
衣装が良いなとおもったのだった。
しかし、映画としては『FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN』と同じ。
1時間40分が欠伸が出る程タルかった。
馬に乗って先行して逃げてる者に普通は追いつけないだろう。追いつけるならその理由を分からせるような描写が必要なのだ。
映画を成立させる為に何が必要な描写かをまったく分かってない。仲間由紀恵とオダギリジョーのツーショットのシーンを減らせばできたのとちゃうか?
それからオダギリジョーに喋らすな(笑)存在感だけでそこそこ間が持つんだから(笑)
現代的なチャンバラ映画でなら佐藤信介の『修羅雪姫』の完成度には遠く及ばない。



『王立宇宙軍』。DVDを購入。
LDで持っていたが時代の趨勢で(笑)購入。
この映画はオイラの中でまったく古びず、はっきり言えば空前絶後の存在であったのである。
話自体は古びていなかったが(古びようがない内容とも言えるが)、さすがに絵はちょっと見劣りしてきたなと感じた。
しかし、この見た事もない世界観を説得力をもって構築する力量という意味では今だに空前絶後である。
日本で、特にCGで映画を製作する人達に一番欠けてるものがこの映画にある。
観る側に世界観を信じ込ませて引き込む力が希薄なのだ。
ある意味『王立宇宙軍』のような模範解答があるのにそれが出来ないというところが、空前絶後たる所以かもしれん。
ところでこのDVDの映像であるが、白いゴミがチラチラと汚らしいのでクリーニングして出すべきであった。音響の再編集などするぐらいなら、この説得力のある映像を綺麗な状態にして欲しかった。
約1万円もしたんだからさ。



『FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN』と『SHINOBI』は、映画のカット割というよりも漫画のコマ割に近い。
漫画ならコマ全てを一枚絵として描いて物語る事は可能だろう。
しかし、映画はそうではない。前後の流れを寸断するようなカット毎の一枚絵の構図ではスムーズに観る事ができないものなのである。
日本人映画製作者の多くが無意識に映画のカット割と漫画のコマ割を使い分けられないのは、映画のちょっとした限界かもしれない。
by 16mm | 2005-09-19 22:50 | Trackback(5) | Comments(6)
トラックバックURL : http://rts3.exblog.jp/tb/2734622
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Tracked from ★☆★ Cinema D.. at 2005-09-20 00:34
タイトル : チャーリーとチョコレート工場
鑑賞した日 : 9月10日土曜日 鑑賞した劇場 : 109シネマズ名古屋   本日2本目は「チャーリーとチョコレート工場」です。 ついにこの日が来ました。昨日から高鳴る鼓動。 そのせいで寝不足にもなり(笑) なんといっても本年度の本命なのですから。   ....... more
Tracked from キネオラマの月が昇る〜偏.. at 2005-09-26 01:35
タイトル : 「チャーリーとチョコレート工場」
サンキュー、ティム。 完璧だ。 これ以上のものはきっと望めない。 Everything's eventual !! 何もかもが究極的!! この先何人の人がロアルド・ダールの原作を映画化しようとも、これ以上のものはきっと作れないよ。 大体あの5人の子役たち、本の挿絵にそっくりだ。 ジョーじいちゃんや、チャーリーのお父さんも。 よく見つけ出したね。 この映画は原作の細かいところまでほんとに忠実に再現していて感動した。 あのリスたち、それからあのエレベーター。 原作以上だったものもある。 それはウ...... more
Tracked from わにわにしちょし at 2005-09-28 20:31
タイトル : チャーリーとチョコレート工場観たよ
本日は、メゾン・ド・ヒミコとチャーリーとチョコレート工場観てきました。就活も夜バイトもこなして映画2本も観れたなんて自分を褒めてあげたい。 まずはチョコレート工場の感想... more
Tracked from 桂木ユミの「日々の記録と.. at 2005-10-17 08:57
タイトル : ウォンカの視点で観てみる◆チャーリーとチョコレート工場(..
10月8日(土) XYZシネマズ蘇我にて 2回目なので、今度はウィリー・ウォンカの視点でこの作品を観てみることにした。(注・完全に、ネタばれモードで書きます) ねたバレなしの1回目鑑賞の感想はこちら。 DLP吹替版で観た感想についてはこちら。 ウィリー・ウォンカ...... more
Tracked from みみの部屋 at 2006-05-03 11:52
タイトル : 『チャーリーとチョコレート工場』
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/M... more
Commented by chata at 2005-09-19 23:26 x
『SHINOBI』?!(゚∀゚ 意外だ・・・。
Commented by 16mm at 2005-09-20 00:03
『シンデレラマン』と『頭文字(かしらもじ)D』wと『SHINOBI』を秤にかけたんですよね。
『頭文字(かしらもじ)D』、逝っとけばよかった(笑)
Commented by chata at 2005-09-20 00:20 x
『頭文字』って、インファナルの若僧だけじゃなく刑事のおっさんも出てる?もしかして。
宣伝ムービーをちょいとみただけですが(´・∀・`)
Commented by 16mm at 2005-09-20 08:32
そそ。ウォン警部役の人が出てますよ。拓海の父ちゃん役で。
『インファナル・アフェアIII』のDVDが明日発売だけど、11月のボックスまで我慢する事に(笑)
Commented by chata at 2005-09-20 22:39 x
やっぱそーすか。
とりあえずⅢをレンタルかな~。
Commented by 16mm at 2005-09-21 09:36
今度の休みに『頭文字(かしらもじ)D』、逝っときます(笑)
杏ちゃんもいるしね(笑)


<< 『頭文字<イニシャル>D TH... 愚か者に不幸あれ >>