『ミリオンダラー・ベイビー』『春の雪』

ブログにはトラックバックという機能がある。他のブログと相互参照することであるが、オイラは滅多に使わない。使わないので当ブログにトラックバックしてくれる人もそう多くはいない。
しかし、以前書いた『ミリオンダラー・ベイビー』のオイラの感想にはトラックバックが現在31もついてる。
このトラックバックの数字はオイラにしてみれば非常に多い。未だこれ以上の数のトラックバックはないのだから。
つまり、この映画に関してはたくさんの人達が誰とでも何か語りたいと思っていたのだろう。
『ミリオンダラー・ベイビー』のDVDを購入。
やっぱり面白い。良い映画だ。
拍手と喝采を獲得した者が恐れる事は、自分が生きてる間に自分が皆から忘れられていく事に立ち会わざるを得ない事だ。
それは死ぬことよりも堪え難いものなのである。
ただどんなに小さな事(女子のボクシングはメジャーとは言えないから)でも、人生で打込めるものを獲得できる人間は少ない。
だから普通は死よりも堪え難いものがあるなどという事は思い浮かべられる筈がないのだ。
死の恐怖に勝るものはある。
ただそんな言葉を逆手にとって一部の愚か者が詐欺のように国民を騙して死に追いやった歴史が約60年前にあったのだ。

フランキーとマギーの関係は親子のようなものではなく、かといって恋人同士のようなものとも違うとは思うが、やはり恋人のような関係というのがしっくりいく気がする。
眼で語りかけ会話する二人。
フランキーが"救済"する直前のマギーの顔のすばらしい事。
神はマギーを救う事が出来ない。
マギーを"救済"できるのは"ヒト"としてのフランキー以外にいない。
そんな関係が二人の中にあったからこその結末であり、その関係が成立しない状態では"救済"は成り立たないのである。
どーも"救済"などともって回った言い方をしてしまったが、はっきり書いとこう。
"救済"とは死を与えることである。

映画の陰影を生かした照明が効果的であった。顔の起伏で表情を影でつぶすと観る側はその人物の表情を様々に想像する。表情が見えなくなった分、観客に見えてくる表情というものがあるという事を監督のイーストウッドは知っていたのだ。
おそるべきジジイ(笑)
この照明の効果は非常に良かったと思う。好みである。

ちょっと不思議なのは、マギーの家族が見舞いに来た時のTシャツがユニバーサルスタジオなのに、台詞がディズニーランドとはこれ如何に?





『春の雪』を初日初回劇場鑑賞。
学生時代、その作品がというよりも、作者への興味から三島由紀夫の小説を結構読んでいた。
内容はほぼ忘却の彼方になってしまったが、この映画の原作『春の雪』は『豊穣の海』という長編小説の中の一節であり、その最後の一節『天人五衰』が三島の死の直前に書かれたものである。

映画で印象的であったのはリー・ピンビンによる撮影だ。
画面を襖、壁、格子、硝子窓の縁etc...を使って横切らせてワイプさせる。
この映画にあってるかどうかは別にして撮影効果としては新鮮であった。
印象として恐ろしく平行を保った構図で、全てが直角に見えた。
印象深い撮影でありながら美術がイマイチなのは仕方ない部分であろうか。
たとえば『シンドラーのリスト』やなどはちゃんと列車を調達して撮影していたが、この映画で出て来たホームの列車は明らかに建て込みのセットだ。
それと屋外をセットにすると必ず路地裏の情景となりそれがまた安っぽく見えてしまう。
そんな映像を観る度に現実に引き戻されるわけである。制作者はその辺りがんばってもらいたいものだ。
DVDでいつでも何度でも映像を見直せる今、一様に観客の眼は肥えてるのだから。

映画自体は面白かった。
所謂上流どころの話であり、若造がシルクのパジャマかよ!などというのは貧乏人のオイラの僻み以外のなにものでもないが(笑)この妻夫木クン演じる清顕の聡子への甘ったれた願望は痛い程良くわかったりした(笑)

出演俳優全てが好演していた。 妻夫木 聡はコメディーからシリアスまでこなせる希有な存在ですな。
竹内 結子は令嬢を演じていた部分は役柄的にも血が通ってない感じで(演技としては成功している)イマイチ萠なかったが(笑)終盤で剃髪してからのあの顔がオイラのツボでした。
別にショートカットの丸顔に欲情しやすいオイラ(笑)ということは抜きにしても。
剃髪して出家するというのは人間でなくなるという事なのかもしれないが、この聡子に関しては剃髪した時が一番人間的な顔であるべきなのかもしれん。
現世で交わる事を期待せずに生き続けるという事がある意味聡子の人間的な平安なのかもしれないと思うのだ。

脚本に佐藤信介。『修羅雪姫』の監督。映画とって下さいよ〜。

宇多田ヒカルのエンドテーマはどーも合ってない気がするが。
by 16mm | 2005-10-30 20:28 | 映画・DVDの感想など。 | Comments(4)
Commented by chata at 2005-11-03 09:55 x
竹内は鼻がサブちゃんだと思います。ミリオンいつか観ます。
Commented by 16mm at 2005-11-03 22:47
果たして、本当にサブちゃん鼻かと思って画像探したんですけど、分からんかった(笑)
絵的には『いま、会いにゆきます』のサブちゃん、もとい、竹内の方が好きだなあ(笑)
Commented by chata at 2005-11-05 00:26 x
ベイベーやっと観ますた。
逝く直前の表情素敵でした。うん。Tシャツは見逃してしまったが・・・。

青い熊のワンパンで人生狂ったマギー。
σ(゚∀゚も職場の馬鹿一人のせいで人生狂いそうです。
その前に奴を精神的に追い詰めてやろうと思います。決戦は月曜日。
Commented by 16mm at 2005-11-05 19:46
chataさん。
普段なら
「バカ相手にアツクならないでさ」
とか言っちゃいますが、
オイラも職場の身の程知らずでしかないバカと冷戦中なので、今のイライラした気持ちは分かります。
ので、逃げ道はちゃんと確保して、GO!


<< 『INFERNAL AFFAI... 許せん >>