『ライフ イズ コメディ! ピーターセラーズの愛し方』『ミュンヘン』

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MasatoさんからニコンD1Xを借りて練習を始めた。
久々に花などを買って撮ってみた。
フィルムの枚数や買う事を気にせず、結果がすぐ分かるというのはこうもストレスがないもんだと確信。
だけど当分デジカメは買えないなあ(笑)



『ライフ イズ コメディ! ピーターセラーズの愛し方』

"You can destroy the world! Peter. "(世界を破壊できるぞ!ピーター)

wowowで録画していたのを視聴中にDVD購入。
自分の琴線に触れるとか、観る時に自然と緊張して襟を正してしまう映画というのがある。
しかしどういう部分がオイラのツボを押しているのかまったく分からない。
これもその類いの映画であった。
なんせ冒頭のピーターがラジオ番組で笑いをとってるシーンから、オイラは緊張していたのだから(笑)

非常に面白い映画であった。
つーか映画館で観とくべきだった。『Ray』を観るぐらいなら(笑)

ピーター・セラーズといってももはや知ってる人も少なくなってきたか。
オイラはキューブリックがらみの映画で勿論知っていたが、たぶんちょっと知ってる人の認識としては『ピンクパンサー』のクルーゾー警部というと分かるだろうか。

この映画自体はピーター・セラーズの自伝映画という体裁をとってはいるが、劇中劇のような、ある意味ドキュメンタリータッチの構成になっている。
が、更に手が込んでいて、その時々でキーになる登場人物<ピーターの父やピーターの妻etc......>にピーター(役を演じているジェフリー・ラッシュがというべきか)が扮装して、ピーター・セラーズを解説するのである。
自己言及というものが自分で自分を客観的に語ろうとするものであるとすれば、自分の中に確実に別の人格を形成しなければ成し得ないものであろう。
このピーターが、別の人物を具体的に演じてそこからピーター自身を語るというのは、自らを"空っぽ"と称してその隙間を埋めるように役柄を詰め込み、役になりきる彼だからこそ出来る事なのかもしれない。
たぶん、この映画はそういう意図で作られていると思う。
(まあ別人格を演じているピーターの客観性が本当に客観であるのかというのは、疑いだせばキリがない部分ではあるが(笑))

ところでこの作品を観てみてようと思ったのは、DVDのパッケージに『博士の異常な愛情』のシーンが載っていたからだ。
スタンリー・キューブリックが出るかな、と期待していたのである(笑)
そしたら、出た。
出たよ。
カッコよく(笑)
スタンリー・トゥッチが演じるキューブリックは本物に負けないぐらい知的でカッコ良かった。
役者だけでなくこの映画の監督もキューブリックに敬意を表しているのが非常によく分かった。
キューブリックの登場シーンなんて『シャイニング』を想像させるような演出だもんな。
それで冒頭の台詞である。
"You can destroy the world! Peter. "(世界を破壊できるぞ!ピーター)
ピーター・セラーズを『博士の異常な愛情』に誘うときに口説き文句である。
カッコよすぎである(笑)

この作品を観てセラーズの『チャンス』も観たくなった。探してみるかな。

この映画もっと評価が高くても良い筈だと思う。非常に丁寧で頭を刺激される映画であった。
邦題のコメディ映画を連想させるタイトルはこの映画のポイントをブレさせている。
ただ、原題の"The Life and Death of Peter Sellers"だと日本人には重すぎて観ようって人が更に減っていたかもしれない。
タイトルの付け方って難しいものである(笑)

オスカーも『Ray』のジェイミー・フォックスよりも、この映画のジェフリー・ラッシュだよなと思ったが、ノミネートすらされてなかったんだよね。
自伝映画の役者ということであれば『チャーリー』でチャップリンを演じたロバート・ダウニーJrも良かった。
ジェイミー・フォックスは二人の域には達していなかったのではないかと思うのである。

ところで、ピーターの最初の妻を演じたエミリー・ワトソンに萌えましたが(笑)
シャーリーズ・セロンも出ているが、このヒト映画が変わるとまったく見かけが変わるんだな。女優でこんなに見かけを変えちゃう人って他にいるかな。
女デ=ニーロだな、ヤツは(笑)
まったく観る気がなかったが『イーオンフラックス』も観てみようかな(笑)




『ミュンヘン』
初日に劇場で鑑賞。
有り体に言って長い。正直160分は長いと思った。
この長く感じた原因というのが中東問題という日本人からすれば(少なくとも私は)非常に対岸の火事的な問題を扱っている為だと思われる。
観てる間中、事件そのものがどうもピンとこなくて頭に入ってこなかったのだ。

ただこの映画が広く一般的に考えられる問題は提起している。
それは、"無限に連鎖する復讐の殺戮の輪"やったらやり返す。そしてまたやり返す。

ちなみに私がその殺戮の連鎖について考えたのは原作版の『風の谷のナウシカ』からである。

やったらやり返さないで、そこで連鎖を止めるというのは並大抵の精神力ではできまい。
私だって身内を無惨な形で殺されでもしたら、自分の手で相手を同じめにあわせるぐらいの気持ちにはなる。
それが人間だからだと思うからである。

スピルバーグ自身ももこの復讐の連鎖という事に関しては非常に悲観的に見ているのはラストシーンの描写で分かる。
アフナー(エリック・バナ)と"モサド"の上司のやり取りと、その背後に墓標に様に建っている貿易センタービル。

たぶんこの連鎖が終結する結末を映画の中でさえ楽観的に描けないという所に、中東問題の根深さがあるのだろう。

ただ復讐の連鎖が続けば、当事者は生涯安眠できず、眼を開けたままでしか眠れない日々を過ごす事になるという事もきちんと映画で描いている。
この後半のアフナーの神経衰弱ぶりを基調にしたスリラー仕立てにした方が良かったような気もするし、より一般化しやすい復讐の連鎖から中東問題へ展開しやすかったのではないか。と、言ってもしょうがない事を言ってみるが(笑)

この映画でもスピルバーグが『プライベート・ライアン』(正確には『シンドラーのリスト』からかもしれんが)から始めた"反戦を隠れ蓑にしたリアルな殺戮描写"をかなり挿入していたが、たぶん扱いとしては能書きの間のアクションシーンとしての位置づけなのだろう。
それとスピルバーグ自身の子供じみサディスティックな好みがでているとも思える。

たぶん上手くメッセージを受け取れる人もいるだろうが、私としては受け取り損ねて、お尻が痛くなった、という感想である。
by 16mm | 2006-02-05 23:55 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Trackback(2) | Comments(2)
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Tracked from キネオラマの月が昇る~偏.. at 2006-02-12 11:45
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Tracked from キネオラマの月が昇る~偏.. at 2006-06-27 18:40
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16mmさんお勧めの「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」を観る。 ちょっとウディ・アレンの映画を髣髴とさせる面白い作り。 ピーター・セラーズに思いいれのある人なら感涙物の映画だと思う。 ◆ピーター・セラーズは非常に芸達者な人なのが良く解った。 特に一度断られたオーディションに再度退役軍人に化けて出かけて行き、見事に役を獲得するエピソードが良い。 ◆当時のソフィア・ローレンが女神の如く綺麗だったのは想像できるが、カミさんの前で口説くのはどうなんだ、ピーター?(笑) ピーター...... more
Commented by 偏屈王 at 2006-07-01 18:38 x
いやー、かっこ良すぎですね、キューブリック。
彼の撮る映画もかっこいいけど、本人はもっとかっこよかった!
こんなにかっこいい人だとは知りませんでした。
Commented by 16mm at 2006-07-01 21:03
■re:偏屈王さん
ちょっとカッコよすぎかもしれませんが(笑)
キューブリックは実際に自分でアフレコの録音をあんな感じでやってたんでしょうね。兎に角レンズや照明等、映画に付随する全ての事に精通してましたね。スピルバーグもそれに近いらしいけど。
我らの北野 武も影響受けたと言ってましたね、自分で。ただ大嫌いな監督だとも言ってたけど、たぶんそれは憧憬や畏怖の裏返しだと思います。


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