『頭文字D THE MOVIE』『チャンス』『赤ちゃん泥棒』『大塚康生インタビュー アニメーション縦横無尽』

当分劇場で観たい映画がないのでDVDでの鑑賞日記になりそうです。
『ナルニア国物語』も観ないだろうな。



『頭文字D THE MOVIE』
DVDを購入して鑑賞。初見は劇場で。
やはり面白い。
車にそれほど思い入れもないオイラだが楽しめた。
というのは、これが車自体をフェティシズムの対象にした映画ではなく、車を走らせる人間に関する物語を作ったからだと思われる。
そうは言ってもカーアクションでのカメラワークのアイデアはすごいと思う。
メイキングを観てたら車の前にクレーンをつけて撮影していたようだ。
撮りたい画を最初に設定して、その為に技術面を徹底的にクリアする粘りと予算に脱帽である。
ところで日本の漫画の原作を香港映画として作って、オリジナルで劇場公開時も日本語吹き替えにするっては微妙な気分ですな(笑)
原作とは微妙にニュアンスが違うがアンソニー・ウォンがなかなかいい味だしてましたな。
エディソン・チャンも育ち良さげな感じが出てましたな。
さすが『インファナル・アフェア』のチーム。

んが、しかーし。
鈴木杏ちゃんはあんな役やるべきではなかったなと思うのである。
どう考えても添え物扱いであるし、まったく共感できない女の役であるからな。
そんな役でキスシーンなんてやられた日にゃ、泣けてきますがな。



『チャンス』
購入したDVDで鑑賞。
『ライフ イズ コメディ! ピーターセラーズの愛し方』での劇中劇で楽しみにしていて購入したわけである。
『ロリータ』や『博士の異常な愛情』。『ピンクパンサー』のセラーズとは明らかに演技が違うのが分かった。
もの静かに自分を押さえ込んだ演技。普段のエキセントリックなセラーズから一番遠いものを体現していたように思える。
ので、セラーズの演技には非常に感心したのである。
この演技ならアカデミー賞取れたんじゃないかな。その年ダスティン・ホフマンが『クレイマー・クレイマー』で取ってるが、あの映画内容が甘すぎてあまり好きではなかったりするので(笑)
では『チャンス』が面白いかというと、内容的に言ったらら非常に居心地の悪い映画であったと個人的には思っている。
どのあたりに居心地の悪さを感じたかと言えば......まああまり言いたくはないのだが。
劇中、チャンスという人物に対する対応としては、冒頭の不良少年達や、町中で唐突に「ご飯を食べさせてくれ」とチャンスに言われたおばさんの逃げるような反応の方が真っ当に見えた。
更に同じ屋敷にいたメイドがチャンスを罵倒する言葉が決定打。
なので中盤から後半にかけて、その国のエスタブリッシュメント達が揃いも揃ってチャンスの事を読み違える様がどうも背筋がうすら寒くなるのである。
チャンスの"無垢"さが何よりも代え難いものだと思わせるあたりに鼻持ちならなさがついてくる。
鼻持ちならないよう見えないように演出しなければこの物語そのものが破綻するのであるが、モノの見事に失敗してると思う。
これは映画のエンドクレジットでセラーズのNGシーンを流してる事にも言える。この映画にそんなものを挿入するべきではなかった。
コメディーの要素は入っていても非常にシリアスな映画でなければいけなかったのだ。セラーズの演技もそういう演技だ。
監督かプロデューサーか知らないが、あるべき映画の姿を完全にぶち壊していた。

そういうわけで、『ライフ イズ コメディ! ピーターセラーズの愛し方』でちょっとだけ挿入された『チャンス』のシーンの方が数十倍心に染みたのである。
チャンスとメイドの別れのシーンのニュアンスや演じてる黒人女優も『ライフ イズ コメディ! ピーターセラーズの愛し方』の方があたたかさがあった。
そして『チャンス』本編のラストシーンよりも、『ライフ イズ コメディ! ピーターセラーズの愛し方』での『チャンス』のラストシーンの画の方が良かった。
これは当時の技術でできないという理由もあるだろうが。

楽しみにしていただけに、本編観なきゃ良かったと後悔しています。



『赤ちゃん泥棒』
中古のDVDで購入。
全てのコーエン兄弟の映画を観ているわけではないが、一番観やすい作品だと思える。
『オー・ブラザー』よりも更にエンターティメントに寄った作品であろう。
面白い。
昔"11PM"っちゅう夜の番組の映画紹介でたしか今野雄二がコーエン兄弟の映画を<天才の映画>と言っていたのが印象に残っている。
たしかに天才である。凡人のオイラにはついて行けない作品もある。『ブラッド・シンプル』や『バートン・フィンク』。
つまらない映画を作ってるわけではない。明らかに観る方の教養が試されてると感じるのである。
そういう意味ではこの『赤ちゃん泥棒』は非常に敷居が低い。低いけど媚びてはいない。
この映画ビデオでも何度も観ていたのでいつかは欲しいなと思っていた所、中古で非常に安く(パッケージがちょっと損傷してるとの事で格安になっていたが、実際はまったく気にならないものであった)手に入ったのはラッキーであった(笑)



『大塚康生インタビュー アニメーション縦横無尽』
日本のアニメーターの大御所。『カリオストロの城』の作画監督と言うとピンとくるだろうか。
オイラは当人の著作も割と読んでいるが、この本はインタビュー形式なので大塚康生本人が書いたら抑制が働きそうな事も載っていて、非常に中身の濃い一冊となっている。
特に宮崎 駿や高畑 勲の下りはオイラの興味も強い所為か読み応えがあった。
しかし大御所の言葉と言っても戦後日本のアニメーションを全て俯瞰しているわけではない。
あくまでも東映動画を源流としたアニメーションとその会社やアニメーターの周縁を語るにとどまっている。
この人が語れなきゃ日本のアニメーションの流れを網羅するなんて試みは今後不可能だろうと思う。
それほどに日本のアニメーションは重層的で複雑なのだと思う。
by 16mm | 2006-02-19 19:47 | 映画・DVDの感想など。 | Comments(0)


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