『Vフォー・ヴェンデッタ』

"民主主義"というのを最初に知ったのは中学校だったろうか。
不勉強を棚に上げつつも、高校から大学とその都度"民主主義"という言葉は出て来たが、実際それがどういうものなのか、オイラには分からなかった。
たしか"独裁"と対になる言葉として教わっていたような気がする。
大学時代。たしかその頃ときめいていた舛添要一がTVで
「民主主義ってのは多数決の社会って事だよ」
と言っていたのを聞いてやっと納得できたのを覚えている。
こんなに単純な説明で言い表せるのに中学も高校も大学ですらそうは言ってくれなかった。
人間の多数派が常に正しいというのが民主主義の根幹であるが、ヒットラーだって選挙で選ばれている。不平不満があっても大多数は小泉とその政権を支持し、杉村某なんていう言葉にすらしたくないようなヤツまで議員になっている。
言うまでもなく民主的な選挙でこのような事態が起こっているわけだ。
それは民主主義が間違っているのではない。むしろ民主主義というものは人間には高等すぎるものなのだと思う。
上記の例をみても多数派が必ずしも正しい判断をするなどというのは幻想でしかない。
『SW ep3』で選挙で圧勝したパルパティーンを見たアミダラが
「民主主義は死にました」
と言っていたが、それだって民主的な選挙の結果である。

『Vフォー・ヴェンデッタ』。
劇場で鑑賞。
クライマックスで"V"が投げたり振り回したりするナイフに光跡が付いているのが見た目にカッコよかった。
ケレンすぎるかもしれないが、日本の時代劇のチャンバラで使うのもカッコ良いかなと思う。
印象に残ったのはそんなとこだ。
内容的には、民衆が一人のテロリストに煽動されて独裁管理社会を打倒する話である。
が、オイラとしては烏合の衆と化した民衆が蜂起して独裁者を引きずりおろした後に、平和な社会が来るだろう、のような楽観的な観測ができないため、この後この社会はもっと悲惨な事態になりそうだと思い、気分が晴れなかった。
"V"自身が現政権を打倒し独裁制をしく為に民衆を煽動したとも考えられるはずだが、蜂起した民衆はだれもそれを疑わない。
オイラ自身が民主主義に過度な思い入れをしてない所為かもしれんが......
そういう意味では劇中での全体主義も不徹底に感じられた。
理想は、民主的と民衆に疑わせず進行する管理独裁社会であるのだから。

イギリスって国は結構な階級社会だそうで、労働者階級の生まれは生涯ついてまわる。
世界的に有名なアラン・パーカーも労働者階級出身の為にイギリス本国では冷遇されているらしい。
しかし、シェークスピアもビートルズもモンティーパイソンもメイド・イン・英だ。
文化的には抑圧と差別のが酷い所程先鋭化していくものだと思う。
そういう意味では状況の落としどころにイギリスを使ったのにはリアリティーがあった。
『時計じかけのオレンジ』『未来世紀ブラジル』と似たテイストの『Vフォー・ヴェンデッタ』。
これらを監督したのがアメリカ人という所がポイント。
特にキューブリックやギリアムの見たイギリスが作品から見て取れる。

そろそろ民主主義を楽観的に信じる事態から脱却したいものだ。
by 16mm | 2006-05-05 00:26 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Trackback(3) | Comments(2)
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Commented by chata at 2006-05-05 22:54 x
偶然同じ時間、同じ場所で観てた友人夫婦は
「Vが髪型といいヒゲといい(シェーッ!の)イヤミに見えて仕方なかった」
らしく、入り込めなかったと。

さっき6ステインを書店で見かけたが、ボロボロなのが1冊だけだったので購入見送り。なぜビニールをかけないのか。
Commented by 16mm at 2006-05-06 20:50
■re:chataさん
"仮面ライダー響鬼"ってのがある昨今、"仮面ライダー怒斗"ってのもアリではないかと(笑)
ちなみにオイラ"響鬼"って"キョウキ"と読むもんだと思ってたら"ヒビキ"だと。"キョウキ"だと放送では好ましくないのかもしれんが"キョウキ"のほうがカコエエと思ってました(笑)

"V"はたしかにイヤミに見えますねwどちらにしてもあのウサン臭さは正義の味方には見えませんわなw

単行本でボロボロだと購入意欲は失せますね。オイラも買わないだろうと思います。
『6ステイン』面白いと思います。まだ全部読み切ってないですけど、長編よりこれくらいの短編の方が映像化しやすいだろうなと思いました。
もう勝手に脳内でキャスティングして映像化して楽しんでますよ(笑)


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