『ロード・オブ・ウォー』『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

取りあえず観たい映画がないのでDVDレンタルを。
今月末には近場のツタヤが閉店になるので、気になる作品を優先して観る事に。
今後chataさんに教わった宅配レンタルにするか、wowow中心の視聴に切り替えるかが悩みどころである。



『ロード・オブ・ウォー』
レンタルDVDでの視聴。
面白かった。
オイラがよく行く某サイトで紹介されていたので観る気になったのだ。
"Lord of WAR"<戦争の王>という意味である。
武器商人の側から見た戦争のしくみという赴きであろうか。
現代での戦争が殴り合いや投石でカタがつくわけではない。
鼻の利くディーラーが、火種のある所に武器を売り歩いて戦争を起こし拡大させているともいえる。
純粋にビジネスとして考えるなら、核兵器で瞬時に雌雄を決するのではなく、行かさず殺さずの銃撃戦程度に留めた方が長期的に武器弾薬が消費され旨味があるというものだ。
......
と、ここまで書いて押井の『PATLABOR 2 the Movie』を思い出した。
そう、オイラは戦争に関する示唆的な思想を押井の映画で10年以上も前に体験していたのだ。

「...内戦、民族衝突、武力紛争、そういった無数の戦争によって合成され支えられた、血まみれの経済的繁栄。それがオレたちの平和の中身だ。戦争への恐怖に基づくなりふり構わぬ平和。正当な対価をよその国の戦争で支払い、その事から眼をそらし続ける不正義の平和」
「平和という言葉が嘘つきたちの正義になってから、オレたちはオレたちの平和を信じる事ができずにいるんだ」
「単に戦争でないというだけの消極的で空疎な平和は、いずれ実態としての戦争によって埋め合わされる、そう思った事はないか?その成果だけはしっかり受け取っていながら、モニターの向こうに戦争を押し込め、ここが戦線の単なる後方にすぎないことを忘れ、いや、忘れたふりをし続ける。そんな欺瞞を続けていれば、いずれは大きな罰が下される」<以上、『PATLABOR 2 the Movie』からの台詞の抜粋>

戦争を主題に結構トンがった『ロード・オブ・ウォー』であっても、10年以上前の『PATLABOR 2 the Movie』の戦争論に勝るものを提示してはいなかったというのがオイラの感想である。
映画としては面白かったが、オイラがそのテーマ自体を真新しく感じなかったのはそんな理由である。

ニコラス・ケイジが好演。
彼はどんな役をやっても外見はいつも"ニコラス・ケイジ"(笑)で、デ=ニーロやシャーリーズ・セロンのように外見から役柄を作るってことはあまりしない。
しかし、セリフのトーンや顔の表情で非常に上手く役柄の演じ分けをしているのがわかった。
平凡な人物を演じる上で、ニコラス・ケイジのなさけなさそうな顔(笑)がプラスに働いていると思われる。



『ヒストリー・オブ・バイオレンス』
レンタル・DVDで視聴。
面白かった。
月末金が入ったらDVD購入しておこう。
監督のデイヴィッド・ クローネンバーグは、インタビュー本を買ったりしてしまうほど好きなのだが、すべての作品が好きなのではなく、どちらかというと生粋のクローネンバーグファンからは<ぬるい>と思われる作品がオイラにはあっているようだ(笑)
観てない映画もあるが、好きなのは『デッドゾーン』『ザ・フライ』と『ヒストリー・オブ・バイオレンス』。
自分には合わんなあ、と感じたのは『裸のランチ』『戦慄の絆』『イグジステンズ』『クラッシュ』。
微妙なのが『スキャナーズ』。
どうもグロすぎるものに拒否反応があるのかもしれない。
なのでキューブリックのように全てのDVDを蒐集したいとは思わないので、ちょっとでも気に入った作品は買っておこうと思うのである。
で、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』である。
この映画に限らずクローネンバーグの作品は、セックスとバイオレンスを非常に肯定的に描いているところが好きなのだ。
バイオレンスを擁護してるということではない。
セックスはどんな倒錯したように見えるものであっても(『ヒストリー・オブ・バイオレンス』では奥さんがチアリーダーの格好をして旦那に迫ってセックスするシーンがあった)、そしてどんなに残酷で身もふたもないようなバイオレンスの描写をしていても、取りあえずそれらを肯定してみる。
いや、否定や肯定をする前にそれらについてもっと考えるべきだ、という示唆をクローネンバーグは作品を通じて表現していると思われる。
それぞれの自分の中にいる<もうひとりの自分>。それは暴力的で血に飢えた自分であったり、または、日常ではおくびにも出さない淫乱さをもった自分であったりするであろう。
しかし、それらの要素が自分の中にあるという事を肯定することで、セックスやバイオレンスを歪んだ形で抑圧する事を防ぐ事ができると思うのだ。
オイラが素直にそう思えるほど、この映画は割と直球な映画である。
役者も皆好演。ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハート。
クローネンバーグは役者のチョイスが非常に上手いと思う。
更にこの監督、有名ドコロにしては上映時間を禁欲的なまでに抑えている。
この映画も100分ないのだ。
テーマにもよるし、それこそ作家性にもよるわけだが、時間を多くすればいい映画になるというのは幻想なのだなと思った。
by 16mm | 2006-09-18 19:23 | 映画・DVDの感想など。 | Comments(2)
Commented by ぞ~さん at 2006-09-19 15:47 x
ロード・オブ・ウォーはいつか観ようかなと思ってました。
TVではやらないだろうねぇ~。
ニコラス・ケイジを観る為に借りるかw
Commented by 16mm at 2006-09-19 17:46
■re: ぞ〜さん
ぞ〜さん、お久さ〜(笑)
なんだかんだ能書きをかきましたが、この映画面白いです。
イーサン・ホークもなかなか良かったですよ。


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