『武士の一分』

『武士の一分』の前に(笑)
SWFBLOGさんより 『新中野 片山ゲリオン』

知ってる人も多かろうが観るたんびにクスクス笑えました(笑)
ハッキリいってバカ(笑)
つーか無駄にすごい(笑)
今までやった人間がいない事をやり遂げた事は(やろうと思うヤツは普通いないだろうからw)絶対に賞賛に値するとマジに思う。

MOVIXさいたまで『武士の一分』を観る。
字幕ではない所為か途中で気を失う事もなく(笑)ちゃんと観る事ができた(笑)
やはり字幕の所為で眠くなるのかもしれん(笑)
映画自体は面白かった。ある意味外さないように作られているので観れば楽しめます。
木村拓哉が好演してましたな。殺陣のキレ具合がシャープで良い。"華"のある、というかその"華"だけの魅力かもしれないが、得難い才能だとも思います。
印象としては前半の画が明るすぎる。たぶんこの明るい色調が万人受けの部分であろうが、それでも後半はやや暗くなり重さとリアルさが出ていた。
照明はともかく(撮影監督の役目にライティングを兼任する場合もあるので同一人物がやってるケースもあるのかもしれないが)撮影はハズさない構図でまとめていて非常に上手い。
これもあからさまな万人受けかもしれんが、新之丞の怒りをあらわすのに雷の効果音の挿入など、音の演出のワザとらしさが鼻についた。
大きくうなる風。飛び回る蚊。剃られた月代(さかやき)の部分に髪が徐々に生えてくる描写。暑い夏に浮き出る汗など、たぶん山田洋次の前作、前々作の時代劇でも使って来たであろう映像の演出がリアルだ。こういう所で新しい時代劇の可能性を掘り起こしてると言えるかもしれない。



実は山田洋次の映画を映画館で観たのは初めてだ。
『幸福の黄色いハンカチ』や『男はつらいよ シリーズ』などはTVでやってたのを数分観て止めてしまっている。
山田洋次の人情話というものの胡散臭さというのが、オイラを彼の映画から敬遠させていたのだ。
オイラも下町という程ではないが、足立区なんていう東京の外れで育ったのでなんとなく分かるのだが、映画で描かれるような善意だけの下町人情などは身の回りに存在しなかった。
あったのは噂好きで、卑しげな好奇心を隠して世話を焼く振りをするヤツらばかりだった。
山田洋次という人は東京でも山の手の結構良いトコ出だと聞いた事がある。
やはり自分から遠い世界に勝手な思い入れをして『男はつらいよ』を始めとする下町人情噺という映画を作りだしたのだろう。
『男はつらいよ』なぞ、どう考えてもあり得ないリアリティーのない世界観だ。

ただ、今回の『武士の一分』は上記の感想とは微妙に趣が異なっている。
まず今までの山田作品であれば善意の第三者として描かれたであろう、所謂中産階級の人間像(この映画では桃井かおりあたりを代表とする)が憎むべき悪意の対象として描かれていた。
後先考えずに善意の仮面を被って卑しい噂話をし、失明した新之丞を厄介者扱いをし、それでいてつまらないプライドだけは持っている。
中産階級の人情モノという映画を作り続けたのはある意味賢明であった。
なぜなら、社会は中産階級が多数を占めているからだ。
なので多数派である中産階級の共感を得るような作品でなければビジネスとして成り立たないのだ。
「カネ持ちより他人に対する人情味はあるんだよ我々は」
というありもしないものをあるかのごとく思わせ、オイラを含めた多数の人間に勘違いをさせることによる成功。
しかし、誰にでも分かる形で中産階級への悪意を出しているわけではない。
中産階級を更に二極化して、良い中産階級=新之丞、悪しき中産階級=新之丞の縁者達、という図式を提示したのだ。
当然我々観る側は良い中産階級=新之丞への強い共感となり、自分が悪しき中産階級であるという自覚を希薄にさせるのだ。
もともと同根である中産階級ビンボー人(笑)
悪役を作る事が難しいと言われる今、これがひな形になるやもしれん。
山田洋次が自分の作風をシフトチェンジするにあたって、やっと現実を直視するようになったのか。それとも本々ビジネス上での要請で下町人情モノを作っていただけで、そもそもそんなものは信じていなかったか......
加世を騙してレイプした島田藤弥なぞ結局最後は自決したわけなので、オイラとしては憎めない悪役である。
なのでこの映画の怒りの矛先は最後まで新之丞の縁者に対するものである。
それはすなわち、オイラ自身に対するものであるのかもしれない。

映画のラストはウェットに結ばれている。
最後に夫婦でイチャイチャするのを映像でみせるのは観客を安心させるお約束だが、なんとなく奥さんが帰ってくる事をにおわせる伏線があったので余計に助長な感じがしたのだ。
できればラストは顔をあげた加世の顔のアップで、新之丞のoff台詞で
「おかえり」
という感じで終わればオイラはものすごく感動したはずだ。
まあ、言っても詮無き事だが。

結局、山田洋次という監督は自分が信じる信じないは別にして、非常に古典的にウェットな作風を持っているというのが分かった。
上手い監督であるという事も。
しかし、オイラの感覚には合わないので、今後彼の映画を観る事はないだろうな。
by 16mm | 2006-12-03 22:15 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Comments(2)
Commented by JunBo at 2006-12-08 01:04 x
字幕のせいで眠くって,,ww
主婦の方々なんぞも“ながら”作業で観ることが多いので 吹き替えのがイイってひと 多いみたいよねぃ~

武士の一分。。先日わらっていいとも増刊号をみていて
「テレホン」にキムタクが出てた時 タモさんが「たけしのいっぷん」と、わざと読んでいたのを見て以来,,もう たけしのいっぷんにしか見えなくなってしまったデスょw

映画 観にいってないな~((つぎは一体なにをみることに,,(´- ω -`)
Commented by 16mm at 2006-12-09 01:01
■re:JunBoどん
昔のオイラならDVDなどを視聴する時も吹き替えで観るなんてことは考えられなかったのに(笑)
吹き替え、楽ですもんね。字幕に視線を移さず映像に集中できますからね。
なんか最近映画館に行っても寝ちゃうぐらいならDVDのレンタルでいいのではないかと思ったりします。

来年出るであろう『時をかける少女』はぜひ。
もう、たぶんオイラの今年ナンバーワンだと思います。


<< 雷火 『柳花』 >>