『どろろ』

MOVIXさいたまにて『どろろ』を観る。それなりに楽しみにしていた映画であった。
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1時間10分ほど観たところで途中退場(笑)
なので良い悪いを言う資格はない。

が、少々感想を。
良いなと思ったのは
●海外での撮影で日本では撮影できないようなロングショットを撮れた事。
●画に粒子を出している試み。
●百鬼丸と蜘蛛の戦いで進行のテンポが上がったこと。この戦闘シーンは良かったがそれも戦闘の最初の方だけ。

で、途中退場した理由だが、CGがちゃちである。
CG以前の特殊効果の部分で「これはキツイだろう」という映像が平気で繋げられている。
『ロード・オブ・ザ・リング』のレベルは期待しないが、それでもこの映画を作った人間は可成り低いレベルで映像に満足してるとしか言いようが無い。
なんだ、あのガラクタのような城は(笑)
なので何から何までリアルに観えない。
先週『ディパーテッド 』での"血"のデザインの良さを堪能したが、『どろろ』の血は所謂"ペンキ塗り立て"のようなものだ。
よくわからんが、鎧を付けた状態で刀が刺さってそこから血が盛大に吹き出るなんて事はあるのだろうか?
ワイヤーアクションもまったく重力を無視しまくりで、飛ばされたのか宙に浮いてるのかわからんかった。
少なくともこの監督の映像に関する見識の低さが分かるというもの。

原作の漫画を映画にするための脚色が上手くいってない。
百鬼丸やどろろの生い立ちに対する説明が鬱陶しくてしょうがなかった。
それと、これはブログでリンクさせて貰っている偏屈王氏も指摘していたが、どろろが実はおんなであったというのは原作の漫画のポイントの一つであるのだが、それがキャスティングで完全に無視されていた。
どろろに男の役者を配した場合、"東海道中ホモ栗毛"(笑)のようになってしまうかもしれんが。そもそもどろろに柴崎コウをキャスティングしたのが間違い。どろろはせいぜい13歳から15歳ぐらいの間(それ以下でもいいかもしれんが)の女の子で配役して男っぽくすればよかったのだ。女性として完成された柴崎コウではこの漫画の意図にそぐわない。

映画の途中からエンターテイメントっぽく片っ端から妖怪を切り捨て、失われた身体を獲得していくのだが、このテンポでは身体を獲得していく重さを表現できる筈はない。
原作のラストもすべての妖怪を斬ったところでは終わっているわけではない(数年後、48体全てを斬ったとの記述がなされているのみ)。
なので、映画の脚色としては上映時間で1体の妖怪を斬り、一つの身体のみを獲得するというところで終わらせてもよかったのだ。いや、そうしなければ失われた身体の獲得の重さがでてくる筈が無い。
その一体を斬る事の重さと困難さを表現するべきだったのだ。

どちらにしても途中下車したオイラになにも言う資格はないのだが。
今更ながら『Alwys 三丁目の夕日』は今の日本においても相当な高いレベルでヴィジュアルのクォリティーを保っていたのだなと思った。
更に『それでもボクはやってない』と見比べると、映画を作るという点においてプロの特上とアマチュアの特下ぐらいの差がついていたな。
まぁ比べるのもなんだが、雲泥の差であったと思う。
by 16mm | 2007-01-27 22:09 | 映画・DVDの感想など。 | Trackback(2) | Comments(4)
Tracked from どろろは手塚治虫の最高傑作 at 2007-01-28 01:55
タイトル : どろろは手塚治虫の最高傑作
劇場版も始まるどろろ、手塚治虫の最高傑作ともいえるどろろの魅力について勝手に(笑)語ってしまうどろろブログです。 貴方が少しでもどろろを好きになってくれれば嬉しいです。 ... more
Tracked from 柴崎 コウ at 2007-04-01 20:18
タイトル : 柴崎 コウ
デビューは1998年に放送された番宣番組『倶楽部6』(TBS)。1999年放送の日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)の「ポンズ・ダブルホワイト」のCMでブレイク。以後は映画『バトル・ロワイアル』や『GO』での演技が評価され、数々のドラマや映画に出演した。 * 『GO』での演技が認められ、数々の賞を受賞し女優としての地位を確立した。 * 主な出演映画代表作は、『黄泉がえり』(03年)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)、『メゾン・ド・ヒミコ』(05年)、『日本沈没』『県庁の星』(06年)など。柴...... more
Commented by chata at 2007-01-28 00:31 x
途中退場とはお珍しい!w 観ようと思ってたけどやめますっww
楽しみにしてたのになぁ~どろろぉ~ん(´・∀・`)
Commented by 16mm at 2007-01-28 10:13
■re:chataさん
今まで途中退場は、『花のあすか組』『Red shadow 赤影』だけですね、たしか(笑)
お金もったいないのでどんなにつまんなくても最後まで観る方なんですけど、お金どころか時間まで無駄にしそうだと判断すると、涙をのんで途中下車(笑)

オイラも結構楽しみにしてたんだけどね。妻夫木くんはなかなかいい感じだったんですけど。
Commented by 偏屈王 at 2007-01-29 19:16 x
文中で拙文に触れて頂き、恐縮です。
すぐ「どろろ」についての記事をTBさせて頂いたのですが、何故だか反映されませんでした。
それにしてもchataさんもおっしゃるとおり、途中退場とはほんと珍しいですね。
途中で気を失うことがあっても(笑)いつもは最後まで鑑賞する16mmさんなのに。

>映画の途中からエンターテイメントっぽく片っ端から妖怪を切り捨て、失われた身体を獲得していくのだが
う~ん、これ完全に間違ってますね・・・。
これじゃ痛快戦国アクションになっちゃってる。
手塚が描きたかったのはそんな事じゃないはずなのに。
Commented by 16mm at 2007-01-30 09:06
■re:偏屈王さん。
ありゃりゃ?TB反映されませんでしたか?TB制限はしてないはずなのですが・・・

映画で途中退場ってのはお金を払ってる分ものすごくもったいない気がするのですけど、もう明らかに最後まで見てもつまんないと思ったら、後は時間を無駄にしないぐらいしかないですよね(笑)困ったものです(笑)

あの映画2時間以上あったようですが、妖怪一体と自分の体をひとつだけ取り戻す行程を上映時間でやっても一応アクション活劇の体裁はとれるわけなのでいいかなと思うんですよね。漫画の原作はひとつひとつのエピソードが繊細に重ねられてるので、映画ではひとつのエピソードに絞って掘り下げた方がよかったかなと思ってます。


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