『Ray』『インディー・ジョーンズ』

オレが手に触れた最初の伝記といったら『野口英世』だったりする。小学生の時だ。初心だったオレは、伝記と言うのは小説とは異なり実在した人物を書き記したものであり、創作された小説と違い真実が語られているものと信じていた。
そしてスレた大人になった今のオレは、伝記が全て真実を語っているなんて事はまったくない事を知っている。
子供向けの本ならせいぜい数百頁、映画でやっても2時間程度に脚色された中に、偉人の人生の全てをを盛り込めるわけがない。当然、そこには真実の誇張、歪曲、意図的な真実の抹消があり、そしてそれは必要なのである。特に映画のようなエンターテイメントや子供の教育目的に適うためには。
野口英世が囲炉裏に落ちて"てんぼう"になって貧しい中母親の献身と己の努力で医学者になった、というのは真実であろう。
が、子供向けの本に野口英世は金遣いが荒く、上昇志向丸出しの功名心に取り付かれた男、という部分はなかった。
実際この辺りを知ったのは漫画で『栄光なき天才』というシリーズで野口英世を扱ったものを読んでからだ。
伝記やドキュメンタリー、ノンフィクションの類いと言うものから少しでも真実を多く読み取りたかったら、関連するものを複数読む必要があるのは言うまでもない。

前置きが長くなったが、映画館で『Ray』を観て来た。たしか公開2週目だと思うが結構人が入っていたのはレイ・チャールズが好きな人が多いという事だと思う。
オレは特にレイ・チャールズのシンパではないので詳しい所はまるで分からない。
では自分がこの映画を観た動機を有り体に言えば、有名人の生活を覗いてみたいという俗な欲求からである。レイ・チャールズに興味がなく音楽に詳しくないオレが観る動機といえばそんなものである。
映画は女とドラッグと幼少時のトラウマに焦点をあてて、オレの期待に応えてくれていた。
そういう意味でいえば、この映画は女とドラッグと幼少時のトラウマという側面からしか作られていないと言える。
ある意味この手の話がオレだけでなく一般の観客を呼び込み易いものだ。
自分に興味がない所為かもしれないが、アーティストと呼ばれる人たちが芸術の為に女やドラッグに溺れるというのがまったく理解できない。私はドラッグをやったその体験が創作に生きるなどというヨタ話はまったく信用していない。
立川談志も女が芸の肥やしになるなんてウソだと言っているし、キューブリックもドラッグでラリった頭で他人に広く理解させるような論理的な作品が作られる筈がないというような事を言っていた。
レイ・チャールズという人が多くの人に愛されたのは、無形である自分の感性を形にできる一種の論理性を持っていたからにほかならない。そうでなければ国境を越えて多くの人間を魅了できる筈がないのだ。
この映画、ある程度レイ・チャールズにシンパシーがある人でないと楽しみ方がわからないのかもしれない。
飽きない面白い映画であると思うが、これをもってレイ・チャールズの事が分かった気にはならない方がいいだろう。
ところで、レイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスだが、台詞回しが上手いかどうかは英語が分らないオレに判断はできない。しかし盲の演技というものに関して言えば、日本で座頭市を観てきた者からすれば勝新の演技の足下にも及ばない気がした。有り体にいえばジェイミー・フォックスの演技は、眼、見えてるんじゃないの?ってな感じに思えてしまうのだ。盲の人って顔に何か当たるのをいやがるだろうから、もうちょっと俯き加減で歩くのではないかな。所謂"らしさ"というのが足りない。いくら実際のレイ・チャールズがサングラスをかけていても、それで誤魔化しているように見えてしまった。
なんとなくだが、アカデミー賞は無理なんじゃないかなと思う。
オレはチャップリンの伝記映画『チャーリー』が好きなのであるが、演じたロバート・ダウニー・Jrのなりきり度はジェイミー・フォックスの比ではなかったように思える。ロバート・ダウニー・Jrはそれ以降パっとしなくなっっちゃったのが残念でならない。

今更だが、『インディー・ジョーンズ』のDVDボックスを買った。たしか一昨年の12月にでたものである筈だ。
『レイダース 失われたアーク』とメイキングにだけは興味があったのだが、期間限定の価格が9800円、それを過ぎると13800円になるので買う気が起きなかった。
土曜日、ビ●グカメラで見つけたら5980円になっていた。約半額。これならと思い購入に踏み切ったのだ。まだメイキングしかみていないのだが、『レイダース 失われたアーク』の冒頭でインディーのシェルパ役の現地人役が『スパイダーマン2』のドック・オク役のアルフレッド・モリーナだったという事が分かって、「へ〜w」となった(笑)
このシリーズでオレが一番好きなのは『レイダース 失われたアーク』である。3作の中で一番ハードな感じがするのだが、今観ると荒唐無稽な冒険活劇のをリアルにみせるツメが甘いよなと思ったりする。
潜水艦の外のどこに掴まってられるんだ、とか、普段世界を放浪してるような人間が果たして大学教授になれるの?(笑)とかね。
ルーカスの『スターウォーズ』で出て来たデス・スターという惑星型要塞。宇宙に浮かぶ球形の要塞に宇宙船は直角に入って行くが、この要塞、映画のスクリーンから見て下に向かって重力があるのか?(笑)
そういう意味では彼らの映画はツッコみどころ満載ということだ(笑)

ロッキーを観てボクシングジムに通い始めた友達がいたが、オレは『レイダース 失われたアーク』を高校の時リバイバルで観て考古学者になろうと思った。
が、現実の考古学者が鉄砲もったり鞭を振るったりして世界中を飛び回るなんてことをせず、地道に土をほじくってるという現実に、夢は砕けたのであった(笑)
by 16mm | 2005-02-06 23:09 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Trackback | Comments(10)
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Commented by 疾風 at 2005-02-08 11:07 x
> 野口英世は金遣いが荒く、上昇志向丸出しの功名心に取り付かれた男
えええ~。そうなんだ。
千円札なんかになってる場合じゃないじゃん。
「なんで俺様が万券じゃないんだ」って悲しい顔させなきゃ。目のとこ折ってw

まあ美化された人間なんてそんなもんねー。
マスコミはレッテル大好きだから、それ貼られちゃうと、大衆視線的には
そのレッテル通して透かし見た、ステレオタイプ的な評価になっちゃうのよね。
多面的に評価するには多面的に見るしかないし、マスコミが貼ったレッテルの
影響を排除して、どの部分が事実でどの部分が見せられてるのか切り分けるのがムズい。

俺は人ってもんにあんま興味がないので、有名人見るためだけにそんな面倒なことはシマセンが~w
Commented by 疾風 at 2005-02-08 11:09 x
文字数が多いって怒られた…

> が、現実の考古学者が鉄砲もったり鞭を振るったりして世界中を飛び回るなんてことをせず、
俺も高校の時、人語を話すロボット馬が出てくるSF小説読んでえらく感動し、
人語を話せるロボットを作りたいと人工知能を専攻にした。
プログラミングよりも国語の知識が要求されて挫折(笑)
どとはんの見て、若い頃はみんな同じ事してんだなーと感心しとりましたw

ちなみに人工知能の方は、現状のコンピュータ水準では実現無理ということで、
俺が卒業した2,3年後そこの学科は無くなってました。おいおいw

よく考えてみたら、自分の知能使いこなせてないヤツが、人工的に知能なぞ
作り出せるはずもないわけでw
Commented by 16mm at 2005-02-08 13:31
疾風もんへ。その1。
野口英世の金使いの話は漫画ほど露骨ではないですけど、星新一の本にも出てきます。
漫画の方では、最初蛇毒の研究をしていたのに、世界的なインパクトのあるということで梅毒の研究に移ってみたりと、まあ学者としては結構当たり前のことなのかもしれませんが、幼少時に読んだ比較的品行方正なイメージの人ではないのだなって思いました。
学者としては最終的には負けちゃった人だと思います。黄熱病の研究してて自分もかかって死んじゃったけど、その正体がウィルスであるという事は電子顕微鏡が出来て初めて分かったことだから。野口英世が見つけられなくてある意味当然だったんだよね。
Commented by 16mm at 2005-02-08 13:42
疾風もんへ。その2。
>人工知能の方は
私はバリバリの文系人間なので、概念的な部分でしか理解できないのですけど、ちょっと興味がありました。
私の学生の頃ってAIという言葉と同じような意味合いで(たぶん違うのだと思うけど)"ファジー"だとか"f分の1"だとか"ゆらぎ"なんて言葉が流行ってました。それまでのコンピュータの規則正しい考えから、"ブレ"だとか"ちょっと筆がすべった"という事を必死で組み込もうとしていたんだと思います。
ただ、その当時は考えるコンピュータというよりも、集積回路の大容量化とハイスピード化による予想回答の覚え込みを増大させただけということらしかったです。
結局人間の脳みその伝達の仕組みがよく分からない事からしての挫折なんだろうな、と思いました。
Commented by 疾風 at 2005-02-08 15:05 x
> 予想回答の覚え込みを増大させただけ
その通りです。よく知ってますね。
「ニューロ」とかもあの当時はやってましたね。世代的にとても近いかもw
結局ファジーもニューロも字面を借りただけで、それまでの延長でしかなかったわけで、エアコン制御のレベルでニューロコンピューティングが本当に実装されてたら、IT革命どこの騒ぎじゃなかったはずです(^^;
現在のノイマン型のコンピュータでは、ある程度の実績は出せるものの、AIにはほど遠いのが現状ということでした。まだまだ基礎研究の段階ですね。

それでも丸々無駄だったわけでもなくて、エキスパートシステムや自然言語処理の分野の進展には貢献する事ができたので、まだ救いがあります。
身近なとこでは漢字変換してくれるATOKやMS-IME、機械翻訳なんかも自然言語処理の派生物と言えます。
Commented by 16mm at 2005-02-08 17:39
疾風もんへ。
>身近なとこでは漢字変換してくれるATOKやMS-IME、機械翻訳なんかも自然言語処理の派生物と言えます。

なるほど、その辺りに研究の成果が出てるわけですか。
人工知能に関する私の知識ってのは10年ぐらい前までの状況で止まっているので現在どんなだかわからないです。
むか〜し読んだどっかの論文で、脳に電極を差し込んで情報のやり取りをするようになるための基礎研究が始まったみたいな事が書いてありましたけど、未だにそんなサイバーなッちゅうか『攻殼機動隊』みたいなことは実現されてないようななのでヨタ話だったんでしょうなw
できればそんな技術が当たり前の世界では生きたくないですw
Commented by 疾風 at 2005-02-08 19:59 x
to どとはん
そういやこの前、脳波でカーソルをコントロールすることに成功ってニュースあった(笑)
今だと電極突っ込むんじゃなくて、お●む(あえてひらがなかつふせじ)の
ヘッドギアみたいなやつなんじゃないかなー。
脳波受信装置が、もっとかっこよくならなければ、そんなもんつけたくないですなw
Commented by 16mm at 2005-02-08 21:30
疾風もんへ
>ヘッドギアみたいなやつ
ああ、あ●ふ(あえてひらがなかつふせじw)のねw
あんな無様なものを付けたら、オイラの悪い頭が余計に悪くなるしねw
Commented by ちゃた at 2005-02-09 11:27 x
ノグチンは現地人とセクースしまくって黄熱病にかかったと代ゼミ講師が言ってたけど、それはガセだと信じたい(´・∀・`)

Commented by 16mm at 2005-02-09 13:11
ちゃたさんへ
漫画の『栄光なき天才』では、日本で結婚する約束を反故にして、その金で渡米しちゃったという事がかかれてあったのですが、まあ現地人とセクースって話もあながち嘘っぽくはないかもしれない。
そういう話を聞くと、手の障害を乗り越えて人々の為にってな美談が多少なりとも薄れて、私は結構ホっとしたりしてるんですよw
したたかに力強く、女にもモテたのかもしれないなあ、とw


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