『岳』1〜4



"不惑"という言葉を知ったのは岸田秀のエッセイからである。「齢四十にして惑わず」という事であろうが、オイラは死ぬまで惑いそうである。
まったくなんの感慨もなくとうとう本日40歳になりました。
立派な中年である(笑)

今日、友人と一緒にジムに。体重が増えてる事はなかったが、しばらく運動をさぼっていて背筋が弱くなったせいか少々猫背になった気もした。あぶねーあぶねー。

先週コンビニで売ってる廉価版のコミックで『刑務所の中』を読む。
面白いと思うのだが画風がオイラには合わない。なので読んでいても気が入っていかない。決して画が下手だということではなく非常に個性的であるのだと思う。やはりこれだけ個性的であるというと合う合わないが明確に出てきやすいかもしれない。
自分の生理に忠実であろうとこういう問題は出てくるのだと思うのだが、たとえば世の評論家というのは基本的に博愛であってその内から評論の理論にのっとって理性的に作品を評価するのであろう、と思うのだが。
つまりである、女なら若くても歳取ってても美人でも不美人でも頭よくても良くなくても痩せてても太ってても性格悪くても良くても髪の毛が長くてもハゲててても、どんな女性とでもセックスが出来て、出来た上で自分にあった女性を見つけてその良さを言葉にできるということかもしれない。
少なくても見た目だけでセックスが出来ないというのでは評論家にはなれないと、そう思うのだが...

先週、カンヌに北野武と松本人志が招待されていた。
北野武の映画の方にはなにも言う事はなく、今週公開される映画は必ず観るつもりである。
松本人志の初監督作品であるが、この時点での自分の中の印象は約20年前の北野武初監督映画『その男、凶暴につき』を観る前の気分にそっくりである。
一言で言えば「真剣にはやってないだろうな」という事である。
それまで様々なジャンルに手を出してきた武であるが、やはり本業とも言うべき漫才以上のものを会得していたわけではなく、小説(たぶん口述筆記であろう)は明らかに文章力が無いと感じられた。唯一詩は非常に良かったと思うが。
そういうわけで、武が監督して映画がコケたとしてもまあシャレになるのだろう程度の気持ちでファンの義務として観に行ったのだ。
それが観てひっくりかえった。
あまりの衝撃で思わず『キネ旬』に感想を送ってしまったぐらいだったのだ(笑)
今思うと作品そのものもそうだが人間に対する徹底した冷たい視線というのが当時新鮮だったのだと思う。
なので松本人志の作品に対しての期待があるとしたら北野武の初監督作のそれと同じようなものである。
芸人の余技程度のものとされれば二作目は作れないだろうし本人も作らないであろう。
松本人志ぐらいの者になれば映画を作りたいと言えば最低一作は作らせてもらえるだろう。ご祝儀みたいなものだからね。
しかし武の様に作り続ける、作り続けられる人間というのは才能だけではない、精神的な粘り強さをという地道さを備えていなければならない。
職業監督一本でやってきた者を除けば、華やかなタレント業に身を置いてきた者の多くは耐えられない状態だろうと思える。
それは桑田圭祐、小田和正などが作り続けていないのをみれば明白であろう。

この夏公開の『トランスフォーマー』の予告編をネットで観た。
面白そう。
『マクロス』が実写で出来ちゃうような変形と動き。感動ものだ。
スピルバーグは監督ではないのだが、子供が出てくるシーンを観るとなんとなく彼の雰囲気が出てくるから不思議だ。

オイラは麻雀は出来ないのだが麻雀の漫画や小説は楽しんでいる。
なので無敗の雀鬼と言われている桜井章一を主役にした漫画も読む。
読んでいて思ったのは、伝説や風聞というものは本人が発する真実ではなく、その周りが作り上げ強固にしたフィクションを真実として伝えていくものなのかもしれないと思った。
それが悪いという事ではない。それを非難するつもりは毛頭ない。
アートな写真家とされているロバート・メイプルソープも生前はアシスタントにはチャライ印象を持たれていたと聞く。アーティストとして伝説になったのはむしろ死後の伝記を含めた評論からとも言われている。
何が言いたいのかと言えば、先日中国の首相を前にして己を「庶民の王者」と言ってのけた某の事である。
少なくともオイラからみれば単なる凡人にしか見えない某であっても、その取り巻きがフォローすれば偉大な賢人に仕立てられるということだ。
某のいる某団体の某電車の中吊り広告でのコピーでは、件の中国の首相の強い要望で会見が実現したと書いてあったが、一介の宗教団体の長にすぎない某を一国の首相が会見を強く望む等という事は冷静に考えればあるわけはない。
たとえ中国の首相だとしてもね(笑)

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 15』を購入。
ミハルが悲しい。
安彦さんはやはり無茶苦茶上手い。
アムロ単一の主人公物語から次第に群像劇の様相を呈していっている。



『岳』1〜4

山登りの趣味はなくとも、植村直己の本が好きだったオイラ(笑)
本の置き場がないと分かってはいても買ってしまった『岳』。
この本『岳』とかいて『ガク』と読むそうだが、雑誌掲載時にはサブタイトル的に『岳 みんなの山』みたいなものになっているが、『みんなの山』は外した方がいいね。
1と2を土曜日に。3と4を本日購入。
すげえ面白い。
この面白さというのはどこかるくるものか。
『未来少年コナン』を観た時の清々しさに似ている気がする。
例えば、主人公が少々悪を気取るというのは非常に魅力的に見えるものなのだ。
それは自分が現実に出来ない悪事を漫画や小説といった媒体で体験する事でカタルシスを得て満足するということであろう。
『デスノート』や最近読んだ『G戦場ヘヴンズドア』も主人公達の偽悪的(一部主人公のくせに本当に悪だったりする場合もあるが(笑))な態度や作風が作品の魅力になっているのは間違いない。
『時計じかけのオレンジ』のアレックスの悪事の魅力に喝采を叫ぶ。
悪というものはフィクションの上では非常に甘美で魅力的なものなのだ。
『未来少年コナン』を批判する言葉で
「コナンがいい子すぎる」
というのがある。
それに対して宮崎駿は
「おまえらそんなに悪い子がみたいの」
って言った事があったっけ(笑)
その言葉の意味が当時イマイチ分からなかったのだが、今になって分かる。
所謂いい子を主人公にして人の共感を得るような作品をつくる方がよっぽど難しいのだと。
『岳』の主人公 島崎三歩は表面上明るくやさしい好漢である。悪く言えば「良い子ちゃん」なのであろう。
しかし、オイラが読むかぎりその「良い子ちゃん」という言葉を否定的な感想とする事はない。
三歩のやっている事は山での救難のボランティアなのである。警察と協力してはいるが警官ではない。
ふと考えるとどうやって「食べて」いってるのだろうという疑問がわく。
住んでいる所も山の中のテントであったりするようで、どうも住所不定っぽい(笑)
ホームレスと変わらないのではないか(笑)
実は私はこの作品はリアルな山岳漫画というよりも一種のファンタジーなのではないかと考える。
誤解を恐れずに言えばリアルな死生観を打ち出した宗教的な物語なのではないかと。
三歩が神の使徒だと考えれば色々納得できる部分がでてくる。
「よく頑張った」
三歩が遭難した人(死亡した人も含めて)に最初の言葉だ。
山に行くという事は死を意識する場所であるのかもしれない。
どんなに用意周到にしていても自然の前では人間の予測をはるかに越えた事態はおこり、そしてほんの些細な差が生死を分ける。
そん自然と対峙した時、人は戦うのではなくひたすら耐えるものなのだ。
その後の生死は問題ではない。生き残った人間も死んでいった人間にも等しくかけてやれる言葉があるとしたら、今流行のスピリチュアルな癒しなどという言葉ではないはずだ。
「よく頑張った」
この言葉にはむしろ労いの意味が感じられる。
自然と向き合って耐えた苦しさや孤独は三歩でさえ推し量る事はできないであろう。
しかし謙虚にやさしく労う事が当事者の心にどれほど響くことか。
屍体を担いで歩き、死臭のする屍体を大事に抱え上げる三歩。
これって宗教家が日常意識してやることではないのか?
件の某なぞそんな死生観と一番遠い所にいそうだよな。
三歩の笑顔とは裏腹に死の匂いが濃厚な漫画である。
すばらしい。
by 16mm | 2007-05-27 22:47 | | Comments(4)
Commented by chata at 2007-05-27 23:52 x
シジューおめっす!w いやめでたいww
なんかやってくれるハズ、と過度の期待をしちょりますのでwww

『マクロス』といえば車が変形するCMやってますね。やはりデザインは河森氏。変形のプロセスで、なんかゴムみてーに伸びてた気がするが・・・気のせいでしょう。
Commented by 16mm at 2007-05-28 08:38
■re:chataさん
ありがとうございます。
多分ロクな事しかしないはずなので(笑)今年一年また笑っていただけるようなネタを提供したいものです(笑)

>『マクロス』
ほほ~。あのCMのデザインは河森でしたか。『トランスフォーマー』もそうでしたが、変形すると原型とどめませんね(笑)
『トランスフォーマー』の予告編ではあのトラックから変形したロボットが見得を切っていたところがなんとなく日本っぽいなと思いました。
Commented by 偏屈王 at 2007-05-30 01:10 x
お誕生日おめでとうございました(と、過去形でw)。
永遠の16歳、偏屈王より。
(↑オイオイ・・・ww)
Commented by 16mm at 2007-05-31 00:42
■re: 偏屈王さん
お祝いのお言葉、ありがとうございました(と、過去形でw)(笑)。
偏屈王さんにも今年、"歳"を一つ差し上げましょう(笑)
あげられるものなら、オイラの分の"歳"も貰って頂きたい(笑)

ところで、今週たけしとひとしの(笑)映画公開ですが、さて、どっちを先に観ようかなw


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