『OUR HISTORY AGAIN-時の彼方に-』『伊丹十三の映画』

感想は明日かくと思いますが、本日『監督・ばんざい!』と『大日本人』を観てきた。
『大日本人』途中退場でございました(笑)

ブログでリンクさせてもらっている偏屈王さんのところで、山田太一のドラマについて書かれていて、ふと昔のNHK大河ドラマ『獅子の時代』を思い出した。
いままでいくつか大河ドラマを観てきたが『獅子の時代』を越えるものはオイラの中には無い。
江戸から明治に変わる瞬間の時代とその市井の人々が魅力的に描かれていた。
このドラマを観て明治に興味を持ったともいえるかもしれない。
いや、歴史を学ぶという事は面白いかもしれないと気付いたというか、もしかしたら山田が室町時代のドラマをかいていたら室町に興味を持ったかもしれない。
それほどにこのドラマは面白いと感じた。
しかし、このドラマを再見したいとは思わないのは大河ドラマだけに全部観ると約50時間近くなるだろうという観るのにキツい量ということもあるが、それよりも自分の思い出の中での『獅子の時代』は相当に自分の都合のいいように美化されていると思えるからだ。
観たのは小学5年生ぐらいだったと思うが、今現在の多少肥えた眼で観たら非常に拙い部分が見えてくるに決まっている。
自分の頭の中では、最高の状態でドラマが廻っているのに、わざわざ夢を壊す事もあるまいと思えるしね。
このドラマNHKなのに音楽をダウン・タウン・ブギウギ・バンドがやってたりした。
そのメインテーマも良いのだが、毎回挿入されていた『OUR HISTORY AGAIN-時の彼方に-』という歌がまた非常にアツクてガキの心を鷲掴みであった。
そんなわけで、久々にあの歌を聴いてみたくなりCDを買って聴いてみた。
......
いい。
良かったよ。
だけどやっぱり時を残酷ですな。音の厚みが貧弱に聴こえてしょうがなかったです(笑)
思い出の中にあるものというのは、どんなものでも美しくなってるものだなと思いました。



『伊丹十三の映画』
伊丹十三の映画の関係者のインタビュー本。
今だに死因に謎の多い伊丹であるが、この人に関しては松田優作が言った一言が一番的を射ていたと思っている。
「頭は良いが、感が鈍い」
この人は自分の感の鈍さに覚的であって、それを補い隠す為に過度とも思える知識で武装していたのではないかと思う。
所謂クリエイターに知識も必要であろうが、感の良さというのは必須なのではないだろうか。
その必須さが自分に欠けているという事に自覚的だったから理屈や理論を重視していたのだと思う。
だからまだ理屈が固まりきっていない頃の『お葬式』『タンポポ』『マルサの女』辺りまでは自分も好きだった。
しかし後期にいくにしたがって、伊丹にあった僅かな感も過度な理屈に押しつぶされていったように感じられた。
簡単に言えば、その役の格好を観ただけで良い役か悪い役かが分かってしまうような演出になってしまっていた。
演出の登場人物の作り込みの加減がやり過ぎかそうでないかも判断できなくなったのではないかと。そうういう意味では感の悪さが後期に行くにしたがって露呈していったように見える。
伊丹の作っていた映画は蘊蓄をベースにした高度な情報を詰め込んだ映画ではあったが、その割には物語そのものは単純そのものであった。
私が伊丹映画の後期をほとんど観ていないのはそんな理由である。
一部で有名な『スウィート・ホーム』の裁判であっても、感の悪い二人の監督がどっちの方が感が悪いかを言い争っているようなものだと思った。
『スウィート・ホーム』は明らかに駄作であるのだが、それが勘の悪いプロデューサー(伊丹)が介入し過ぎたのが原因か、監督の黒澤清がヘボだったか。
それはともかく、伊丹十三が宮本信子の良さを引き出せるのは自分だけど常々言っていたわけだが、彼の映画を観ても彼女の演技してる感全開の演技は鼻につくだけど魅力的には見えなかった。
そんな宮本信子であるが、この本の最後に"伊丹監督へ"という一文を寄せているのだが、これが実に良い。
本々文章力があった人なのか、それとも監督への愛情がなせるわざであるのか。
悲しくもすがすがしくなるような素晴らしい愛の言葉、まさにラブレターであると思う。
申し訳ないが、伊丹十三は主演女優には恵まれなかったかもしれないが、最高の伴侶を手に入れていたんだなと思った次第。
by 16mm | 2007-06-02 21:24 | | Comments(4)
Commented by chata at 2007-06-03 20:30 x
あぶねー。時間のタイミングが合ったら観にいくとこでしたが、
運が良いのか悪いのか、携帯の修理に長時間かかっちまって
(結局本体まるごと交換w)『大日本人』は観なかったッス。

・・・舞妓待ちで(・∀・)
Commented by 16mm at 2007-06-03 21:53
■re:chataさん
う〜ん、オイラの辛抱が足りないのか、またも途中退場でした。
冒頭のCGはなかなかの出来であったとは思うんですけね(笑)
Commented by 偏屈王 at 2007-06-04 00:13 x
リンクありがとうございました。
私が山田太一脚本でもっとも好きなドラマ「高原へいらっしゃい」も
はじめて観たのは小学生のときです。
でも、大人になって見返して、
「ああ、素晴らしいドラマだな」と再認識させられました。
「獅子の時代」も大人になった今なら再発見があるかもしれませんよ~。
でも50時間観るのはキツイですよね(笑)。
Commented by 16mm at 2007-06-04 08:32
■re: 偏屈王さん
『高原へいらっしゃい』って観た事ないのですが、名前だけはなんとなく知ってるような気がします。山田太一が脚本とは知りませんでしたが。
小説もかいてるみたいですけど、なんというか語り口の上手さというか、フィクションにリアリティを与えるのが抜群に上手い人だと思います。


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