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『スウィングガールズ』『アビエイター』

あまかった。
『スウィングガールズ』のDVDは当然一番高いプレミアム・エディションを買うつもりでいたのだが、完全予約制との事で手に入れる事ができなかった。発売日にどうせ在庫があるだろうと思ってタカをくくってい油断したのだ。
諦めてスペシャル・エディションを購入したが、店頭平積みしていたDVDの厚みが薄くなっていたので可成りの売れ行きなのだろう。喜ばしい事だ。
映画の内容はもう言うまでもない。劇場で都合2回も観たのだ。
上野樹里が片足でリズムを刻む様がカッコいいったらありゃしない。
ラストのコンサートのシーンはやっぱ感動もんだった。
特典のメイキングとコメンタリー2種を全部を観た。
監督のコメンタリーが愉快である。この監督、オレと同い年。しかも誕生日が三日違いでやんの(笑)
メイキングで劇中最大のスペクタクル、『この素晴らしき世界』をバックに流しての猪との攻防の説明がなされていたのが興味深かった。
事前にテスト撮影までされていたこのシーン。撮影上の約束事として、●ピントを送らない。●カメラはパンをしない。●人物と人物の間をカメラが抜ける動きをしない。●必ずカメラは人物の外側にいて横移動する。
こういうメイキング話はちゃんとは理解できなくても蘊蓄として大好きだ。
それから、主要キャストは5人なのだが、その他12人の女の子達の性格造形、というか監督の気の使い方に好感がもてた。基本的に優しい人なのだろう。DVDのキャスト紹介にも全員のプロフィールが載っていた。特に特典映像でガールズが全員参加している短編映画を作っている。
ところで日本アカデミー賞、脚本賞は矢口監督が取っていたが、作品賞と監督賞は『スウィングガールズ』よりも優れている映画が取ったんだろうな。
当然それはいっこも引っかからなかった『花とアリス』よりも優れていることを期待しているぞ。

『アビエイター』初日初回に劇場に観に行った。
3時間まったく飽きさせない運びは、スコセッシたいしたものである。
面白かった。
この映画は伝記の要素を含んでいるので観る側がその人物を知ってるかどうかが内容の是非に影響するのかもしれん。ちなみにオレは主人公のハワード・ヒューズについてはほとんど知らない。
ところで、スコセッシという監督は空を飛ぶという事についてあまり興味がないようだというのを感じた。止まってる飛行機のラインを美しく見せる映像は撮れても、飛翔するという映像に官能性がまったくない。
スピルバーグや宮崎駿の映画にあるそれがないのである。
これの是非を言っているのではなく、作家としての資質の違いと言える。
ではスコセッシの映像の官能性はどこかといえば、明らかに破壊や破滅の描写に他ならない。
飛行機が墜落して畑の植物を薙ぎ払う。ビバリーヒルズに墜落して家も飛行機も、そしてハワード・ヒューズもズタボロになっていく描写。
精神のバランスを崩し引きこもって瓶の中に小水をし、その琥珀色の瓶が横一列に並んだカットの美しい事。
破滅を創造する、というか破滅に向かう道程を非常に美しく官能的に描写している。この辺りは『タクシードライバー』からモチーフとして変わってないのかもしれん。
欲を言えば、晩年に近かったであろうヒューズの全裸姿が若々しすぎたのが難点だ。この辺りはまだディカプリオでは役不足だったのだろうか。『レイジングブル』のデ=ニーロなら体型を崩すような役作りまでしただろう。
アカデミー賞。監督も主演も逃したが、ディカプリオに主演賞やってもよかったんじゃないかなと思った。演技はかなりがんばっているように見えた。少なくともジェイミー・フォックスよりも良かったんじゃないかと思う。
......
じゃあそうするとジョニー・ディップと比較したらどうなんだと言われれば、ジョニー・ディップだよなと思う(笑)
監督賞をスコセッシが取れなかったのは残念だが、まあ『タクシードライバー』でも取れなかったわけだし、本人は欲しいかもしれないがオレは無冠の方がカッコいいかもしれんと思い始めてる(笑)
by 16mm | 2005-03-27 22:52 | 映画・DVDの感想など。 | Comments(18)

『ロング・エンゲージメント』

中島みゆきの実験劇場『夜会』で『vol.5 花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に』というのがあり、私が(LDでだが)観た中ではそれが一番好きだったりする。
それは"待ち人"を待つ者に対し、きびしい眼差しを向けた公演であった。
つまり、待ち人を"待たない"というテーマを語り、"待つ"事が美徳という思い込みに痛烈な一撃を与えていたのだ。

土曜日に年明けから楽しみにしていた『ロング・エンゲージメント』を初日の初回で観て来た。入場者が6人しかおらんかった(笑)
期待に違わぬ傑作。大変良かった。2時間ダレ場なし。

ここから先、ネタバレあります。
by 16mm | 2005-03-14 00:38 | 映画・DVDの感想など。 | Comments(8)

人権擁護法案

時間がないが、取りあえずメモっとく。
人権擁護法案について(デスノート風)。
by 16mm | 2005-03-12 07:21 | 閑話 | Comments(3)

『失踪日記』

会社がイヤだ!!!!、というわけではなく、実生活に煮詰まっているというわけでもないのだが、ひたすら桜 玉吉の漫画を買い続け読み続けてる。
ケミカルでハイになれるなら強引にでもハイになっていたいもんだと思うが、どう考えても一時しのぎにしかならんので実際にやる気はおきないよな〜(笑)

もうアチコチのサイトで話題になっているようなので今更という感じではあるが、吾妻ひでおの久々の新作『失踪日記』を買った。
自身が漫画をほっぽって失踪しホームレス(作中では"こじき"と表記していた)生活をしていた事を漫画に描いているのだが、驚く程自分をクールに見つめている。
私小説風、というと自己憐憫を思わせぶりに哲学風を装ったりしてエラそうだが、吾妻ひでおは家族をおいて二度も失踪するというシャレにならない事態をギャグにしているのだ。
これは誰にでもできるこっちゃない。
おまけに最近では珍しくコマ割が4段組だ。そのコマひとつひとつに丁寧に背景を描いているわけである。
私は後半のアル中になり家族の手で精神病院に入院させられた話がすごく好きである。
アルコール中毒になって、なんでもない子供や女子高生が幻覚で恐怖の対象に見える所の描写などゾっとするほどリアル。
フィリップ・K・ディックの世界みたい。
だれにでもオススメはしませんが、吾妻ひでおの漫画を一度でも読んでオモシロイと思った人は、買って絶対損はない。
by 16mm | 2005-03-08 23:09 | | Comments(0)

『ローレライ』

日本文化の「見立て」というものをからめて、SFXについて語ったのは岡田斗司夫である<オタク学入門>。
日本庭園の大きな石を島に「見立て」、玉砂利を波に「見立て」たりするアレである。

『ローレライ』の初日初回を劇場で観て来た。
ちょっとイラついた部分もあったが、非常に良かったオモシロかった。
架空の潜水艦と架空の索敵システム。これらを劇中説得力をもって見せるのがSFXにおけるセンスやコツや技術なのであろう。それらについてはかなり高度な説得力を獲得していた。その辺りはさすが樋口監督である。
CGそれ自体を比べるならば、アメリカ映画のに比べれば日本映画のそれはちゃちに見えてしまう。その辺りは残念ながら『ローレライ』も然りである。
しかしCGで作った「絵」を潜水艦に「見立て」る、リアリティーを与える事に対する努力は最大限なされている。
まずその一つにSEがあげられる。潜水艦内で結露した水滴がポッポッポッっと落ちる音。信管抜きの魚雷を受け舵がきかなくなった駆逐艦どうしがぶつかる時の金属の高いキシミ音などが非常にリアルだった。
SEはスカイウォーカーサウンドで付けたらしいが、音源のライブラリーの厚さの勝利であろう。
ローレライが起動した時の描写も印象的だ。磁石に引き寄せられる砂鉄が形を作るようなアナログっぽいディスプレイのアイデアは新鮮だった。グリッドがガガっと立ち上がっていく所がカッコイイ(笑)。さすがに今のパソコン画面のような表示をしては台無しであったろう。
予告編やスチルで観た時のセットや緑の軍服のテカりは抑えられ、画面全体がツヤを消したようなものになっていたのもよかった。
そして役者陣の大健闘も映画のリアリティーを支えている。主役連の演技は言うに及ばず、艦内描写で「ベント弁開け」の手際の見事さ。その熟練した感じが「らしく」見えるのである。
役所広司や妻夫木聡や柳葉敏郎は当然として、個人的にはピエール瀧の無骨さが非常に印象に残っている。妻夫木聡は良い役者だなと思う。

劇中、浅倉大佐がやろうとしていた日本のリセットをローレライの絹見艦長等が阻止するわけであるが、戦後日本の今の状況を見ればリセットすべきだった、と思う部分は私にもある。衝動的にこんなニッポンに鉄槌を与えてしかるべきだと思ったりもする。
「ニッポン人は自分で絶望から立ち上がる」という絹見艦長のこの言葉が当時の絶望寸前のニッポン人の希望だったのだと解釈すると、今の日本の状態を恥ずかしく思うからだ。
立派な人間は死に、下らなく愚かな人間が多数生き残るのが戦争なのである。

パメラ役の女の子の台詞が少なくて良かったと思う。長くしゃべらせたら絶対ボロが出てたろう。
映画の予告編で『あずみ2』がかかっていたが、「主役のネぇちゃんにしゃべらすな、台詞言わんとけや」と思ったりした。

で、私がちょっとイラついたのは、冒頭に出てくる能書きと劇中唐突に挿入される心情描写のボイスオーバーである。
スカイウォーカーサウンドで付けたSEと、あれだけ説得力のある役者が演技をすればボイスオーバーの解説などなくても観客に伝わるものなのだ。
現にラストでローレライがどうなったか。折笠とパメラがどうなったか。そして唐突に最後に出て来た作家らしき人物についての説明も一切言葉ではされていないのだ。
その作家のしていたあるアイテムを見さえすれば、だいたいの予想は観客にもつけられる。
それが良いのである。
言葉で説明しなくても、映像がすべてを物語っているわけだから。言葉による説明は野暮ってものだろう。

それと音楽も良いのであるがちょっと仕事のし過ぎだと思う。これも効果音と役者の演技で保たせられた筈だ。

それはそれとしてオイラとほぼ同世代の人間がこんな映画を作った事が、羨ましくもあり、誇りに思ってもいいと思うな。
取りあえず見応えのある映画であることには間違いはない。
早くもDVDが待ち遠しい。
できれば劇場でもヒットしてもらいたいものだ。
by 16mm | 2005-03-06 23:56 | 映画・DVDの感想など。 | Comments(10)