映画インデックス

今まで感想を書いた映画の感想をインデックスにしてみました。
# by 16mm | 2029-12-31 23:59 | 映画インデックス | Trackback | Comments(9)

新年

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毎年毎年世の中が良くなる兆しが全く感じられない、八方塞がりのどん詰まりに気持ちがますます暗くなる。
いや、しかし、気持ちが暗くなって何も言わなくなったら、言えなくなった社会を作ったのは言わなくなった人間の所為だ。
その辺は心したい。
私がお祈りしてもなんの力にもなりませんが、皆様にとって良い年であって欲しいと願っております。

AI画像生成のドラゴンなのだが、なかなかハンサムにできたので良しとしました。
# by 16mm | 2024-01-01 15:13 | 出来事 | Trackback | Comments(0)

間話

●画像生成AI SeaArt
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上の油絵調一枚目と二枚目は結構気に入ったものができた。
三枚目と四枚目の実写風のものは自前のLoraをやめて、とにかく適当に設定したものだのだが、比較的手足の付き方がおかしくなることが減った感じ。
印象としては割と普通の画になったと思うが、それでも気に入っている。
Twitterの画像(それはカメラで撮影したものだが)でバストアップの非常に素朴で単純なポートレイトを見かけてそれを目指そうとしたんだが、生成された女性の画があまり素朴ではなかったな(笑)。
ただし何故かこの三枚目と四枚目はTwitterにはアップできたのにInstagramにはアップできなかった。
遠目でヌードに見えちゃうからかしらん?
最後の街並みの画像は結構前に出来上がっていたものだが一部修正しなければならんところがあって、面倒で先延ばししていたものだ。
たいした修正ではないんだけど、ボタン一つでできてくる画に手間を少してもかけるのがもったいなく思うんだよね。
街並みの画は気に入っているんだが、早い話あの有名映画のあの感じに似てるから、と言うことだと思う(笑)。


先週土曜日、歯の治療。
今年最後の治療。
いつものように美形で剽軽なドS歯科衛生士女史に歯石を取ってもらう。
先生に右下の歯に義歯を嵌め込んでもらう。
一年通じて非常にお世話になりっぱなしでオイラのような人間でも頭が上がらない先生と剽軽な衛生士の方々。
来年も変わらずお世話お願いしたいものである。
ちょっと早くてピンとこないのだが「よいお年を」とお声がけして今年の通院はおしまいとなった。


『ジブリと宮﨑駿の2399日』
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しくじった。
いつかこの手の番組はやるだろうと思っていたんだが、放映を全く気が付かず。
最近TVにまったく興味が向かなかったということもあるんだが・・・。
再放送を録画するか円盤が出れば買いたいと思う。

# by 16mm | 2023-12-17 18:07 | 閑話 | Trackback | Comments(0)

『ナポレオン』

●画像生成AI SeaArt
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今週は二点だけ。
枚数は毎年少なくなっているが今年も年賀状を作成するのに画を”画像生成AI SeaArt”に作成させていたからだ。
いつものように没が多く出たが、とりあえずハンサムな龍ができたのでそれで本日年賀状をFUJIでNETで依頼。
画像生成されたものではあるがハンサムな龍の画は元旦に公開。


■マジか?
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スピルバーグのこの発言はマジか?
マジなのか?
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おそらくスピルバーグはイスラエルのガザへの蛮行を知らないわけはないだろう。
知っててなおイスラエルに肩入れしているということだ。
それが第二次対戦中にドイツがユダヤ人に行った蛮行と同じことをしているとしても、なおイスラエル人がやるなら許されると思ってるとしかいいようがない。
イスラエル軍が病院を破壊し、そればかりかガザの公文書館を破壊して、100年以上にわたるパレスチナ人の生活の様々な歴史資料を意図的に抹消したという。
歴史や記録を抹消する蛮行は民族浄化に値する。
ユダヤ人が「本を焼く者は、やがて人も焼くようになる」といったらしいが、この言葉とその後の歴史的事実の因果が近いうちにがイスラエルに突きつけられるのだろう。
作られたい映画と作家は別だ、という意見はあろうが、映画というものは大体において監督で語るべきモノであるとオイラは考える。
だとしたらこんな蛮行を許容するような作家の映画とは今後距離を置くことにしたいと思う。
『シンドラーのリスト』なんかはユダヤ人をテーマにしながらより普遍的なものだと思っていたが、作っている作家自身はユダヤ人意外は蚊帳の外意識の外なのだったと思わざるをえないということだ。


●【世界解禁】映画『マッドマックス:フュリオサ』US版予告 2024年公開
ついに『マッドマックス』の予告編公開。
『フューリーロード』に出ていたフュリオサが主人公となるスピンオフらしい。
時系列的に『フューリーロード』の前の話のようなので前作のシャーリーズ・セロンより若い俳優がキャスティングされたようだが、それが吉と出るか・・・。
シャーリーズ、すごかったからな。
ただ予告編は非常に興味を惹くものだったので楽しみだ。
予告編からすでにフュリオサが義手になっているところがでてきているので、そこにどんなドラマがあったのか。
楽しみである。


『ナポレオン』
『ナポレオン』_c0022635_17315365.jpg
先週土曜日、109シネマズ菖蒲。
iMaxで鑑賞。
はっきり言おう。
観る前に懸念していた上映時間158分、2時間38分は恐るるにたらず(笑)。
まったく眠気も退屈もせずに上映時間は過ぎ去ったと言って良い。
というのも本作世界史やナポレオンにガチな人たちに言わせれば史実的に大事な部分の省略が甚だしくあるらしい。
なので本作はナポレオン・ボナパルトの自伝とはいえかなりダイジェストだったようなのだ。
ただオイラのように世界史やナポレオンに無知な人間からすると戦闘シーンとナポの高速ピストン(しかも二回も(笑))のようなエンタテインメント的な部分のつるべ打ちで楽しめたということだと思う。
私のような世界史に無知な者がフランス革命からのナポレオンの時代の映画を観るというのは、外国人が日本の織田信長や本能寺の変を知らずに北野武の『首』を観るようなもので物語に入り込めないのではないか?という風に思うのだが、本作は当時の政治的なやりとりなどは最小限にして、戦争に次ぐ戦争で物語を進めていくのと、その合間にナポレオンと嫁のジョゼフィーヌの愛憎生活というかなり俗な要素で物語を繋いでいるので歴史の知見や教養などを気にせずに物語に入っていけたということなのだろう。
さらに本作でオイラの興味を引いたのが映像。
映像派の看板とか枕詞をもつリドリー・スコットって作りだす映像や美術などは創意にとんだすごい映画監督なのだが、その見せ方というのが意外とあっさりしているというか、苦労して撮ったであろう映像も比較的あっさりと観客に提示するのがスコットはカッコいいと思っているふしがあるようなのだ。
したがって観る方は逆にそのあっさりした提示を二度観三度観するほど凝視することになる。
そんな映像表現をする監督だと思っていたのだが、本作は割とあからさまな映像の提示をしていたように感じた。
全てのカットが絵画になりそうな一枚絵を意識した切り取り方をして画を比較的じっくり観せていたように思う。
当時を表現した絵画のようなアングルと印象的なライティング。
その室内の窓から差し込む光の柔らかいフレアと逆光線の美しさを堪能した。
屋外の撮影でもカフェのような場で外は風が吹いてすべてが揺れているも、それを見ている側の屋内は穏やかに感じになっていたり。
とにかく映像演出が凝っている。
やりたい表現を追求して諦めない感じか。
それもおそらく比較されるであろうスタンリー・キューブリックの『バリー・リンドン』に対する対抗だとも思える。
キューブリックが撮影直前までいった『ナポレオン』の伝記映画を諦めたのは有名な話だ。
その機能限定版と言ってもいいだろう『バリー・リンドン』と『ナポレオン』は比較対象になるであろうことはスコット自身覚悟したであろうから、特に映像についてはリッチさで負けない気合を感じた。
キューブリックのように
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f0・7のツァイスレンズと高感度フィルムを増感して
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蠟燭の光だけで撮影するという面倒くさい事はしてない。
キューブリックの頃よりも撮影機材がかなりアップデートしたわけなので現状では蝋燭の照明の雰囲気を出しつつ薄暗い中でのピントの送りが可能になった。
なのでキューブリックの『バリー・リンドン』での蝋燭撮影はキャストが微動だにしない(動くと薄い被写界深度がいとも簡単に外れてピンボケになるから)ほぼ静止したような、まさに絵画のような格調をもった映像という印象であった。
キューブリックの静止画をそのように好意的に解釈はしても、キューブリックだってカメラを動かせるなら動かしたかったに決まっている。
それをスコットはやって見せたということなのだろう。
本人にどのくらい自覚があるかわからんが、スコットって結構キューブリックの背中を追いかけている印象がある。
『エイリアン』の前日譚である『プロメテウス』や『エイリアン: コヴェナント』に出てくるアンドロイドは人間より賢く理知的で、『2001年宇宙の旅』で出てきたHAL9000のようだ。
しかも『2001年宇宙の旅』でそのHAL9000を殺したのはデヴィッド・ボーマン。
『プロメテウス』や『エイリアン: コヴェナント』に出てくるアンドロイドの名前もデヴィッド。
しかもリドリー・スコットの映画の方のデヴィッドは逆に人間を抹殺して『2001年宇宙の旅』での復讐をしているようなていだ(笑)。
更に本作ではキューブリックが生涯造りたかったと思い続けたであろう『ナポレオン』を映画化してみせた。
出身地アメリカでイギリス在住のキューブリックとイギリス生まれのスコット。
彼ら二人の関りは知られているだけでも友好的であったようだ。
スコットの『ブレードランナー』のラストの自然あふれる風景の描写はキューブリックの『シャイニング』で使われなかったフィルムを譲ってもらったものだしね。
そういう意味でもスコットの大先輩であるキューブリックを意識してない筈がない。
そしてこれまでの作品も本作もキューブリックを意識していると堂々と言える映画をスコットは作り続けていた。
こうしてみるとキューブリックの『ナポレオン』が観たかったと切に思うね。
本作に関して言えばオイラとしては大満足、いずれ配信で4時間バージョンが公開されるらしいのでそれも観てみたい。
ところでナポレオンの不肖の嫁、ジョゼフィーヌなんだが、このジョゼフィーヌって色々象徴的な名前であるかもしれないと思った。
リュック・ベッソンの『ニキータ』の主役の女のコードネームもジョゼフィーヌだったりするのでフランスではその名前に色々意味を込めやすいのかもしれんな。
更に言うと本作、スコットの女性感が結構あからさまに出ているような気がした。
未読なのだが
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リドリー・スコットの家に家政婦で働いていた日本人のエッセイ。
レビューによるとスコットのお母さんはかなりの女傑のような強い人だったようで、その印象が本作のジョゼフィーヌやナポレオンの母親などにも投影されている感じ。
強くて男を尻に引くような女性が好みなのかもしれんなサー・リドリー・スコットは(笑)。
ジョゼフィーヌ役の
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ヴァネッサ・カービーが無茶苦茶魅力的であったな。
できればBlu-rayの円盤が出て欲しいが・・・配信だし、でないんだろうなあ・・・。


今週末は歯のメンテナンス。
多分今年最後。

# by 16mm | 2023-12-10 17:32 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Trackback | Comments(0)

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

●画像生成AI SeaArt
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油絵風の画像を作ろうという目論見だが、自分の思い描いたような感じにはならず。
ブラシのタッチを最小限にしつつディティールが出るような細密画にしたいのだが難しい。
できるのかどうかすらわからん。
それと毎度のことながら生成される人体の形状のバグは相変わらずで、パッと見気にならないのだが口を開けた時の歯が結構壊滅的。
遠目で歯に見えるがアップにするとなんか別物のプラスチックみたいな、しかも欠けてるようなものが歯になってたりする。
SeaArt上で修正できるがそれも思い通りいかないことの方が多いので、指だけ直せば上出来なモノでも諦めたりする。


●山田太一 死去
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山田太一が89歳で11月29日に老衰で死去との報。
脚本家、というかオリジナルの物語を自分で作れる人だから倉本聰と同様に劇作家と言った方が良いのかもしれない。
まあオイラとしては山田や倉本のように脚本家が極度に権力を握って現場に介入するということについてはどうなのか?と言う風には思っているが・・・それはさておき。
学生時代に読んだ本で山田と寺山修司が大学の同窓で知己の間柄だったと言うことを知った。
自分が好きな作家が繋がっているというのが嬉しく思ったりした。
山田の膨大な作品群でいえば世代に人によって代表作や好きな作品は色々様々であろうが、オイラはなんと言ってもNHK大河ドラマの『獅子の時代』だな。
あ、いま『獅子の時代』の"獅子"を変換したら"志士"と出た。
"志士"という方が物語に合致しすぎる感じでもあるんだがダブルミーニング的な事もあったのだろうか?
とにかくオイラはこの『獅子の時代』で山田太一という平凡すぎるような名前の脚本家が幕末の物語を魅力的に描いた非凡さにハートを鷲掴みされた。
最終回の秩父事件で菅原文太演じる平沼銑次が"自由自治元年"と書かれた旗を掲げて戦う。
当時中学一年ぐらいであったであろうオイラにはこの旗の言葉の意味するところをきちんと理解していなかったんだが、一人の漢が命をかけてその旗を死守するぐらいに重いものなのだろうことは理解できた。
"国民は愚かものばかりにあらず。
もし国民の声を聞かず政府官僚が独裁独善に陥れば必ず国は破局に向かう。
願わくば日本国憲法は国民の自由自治を根本とした……"

平沼銑次の盟友であり妹の夫であった加藤剛演じる苅谷嘉顕の言葉はそのまま山田言葉だ。
しかし、その旗は銃撃で穴だらけとなって打ち捨てられていた。
未だに国民の"自由自治"の元年は達成されていないとも言える。
国民を衆愚などと切り捨てず希望を語っていたこの言葉のためにも我々国民は愚かさと怠惰から脱却するべきだ。
この強い言葉は今現在も生きている。
今現在もいきているから未だに国民は怠惰だとも言えるが、肝に銘じたい。
オイラの考え方の中芯を初めて与えてくれた山田太一に衷心より哀悼の意を捧げ、ご冥福をお祈りいたします。


先週土曜日、歯のメンテナンス。
いつものように美形で剽軽なドS歯科衛生士女史に歯石を取ってもらう。
前歯の後ろにそこそこ歯石があったようで、ガリガリと女史に取ってもらった後は自分でもスベスベ感がわかるぐらい。
先生とカメラ話。
現状仕事でスタジオでのパシリをやっている所為か撮影の話題に事欠かない。
オイラも先生も全然写真撮らないのに(笑)。


『安彦良和の歴史画報』
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Amazonで書籍版購入。
書籍版買ってしまったが電書でも出して欲しかった。
画集としての側面もあるが安彦自身の解説も多いので、電書ならいつでもどこでも読めるのにな。
後発でも良いから電書出してもらいたい。
しかしこの本、ヴィジュアルブックとはいえ4400円、高いよな。
以前ならこの手の本には値段を気にせず買っていたのだが、この不景気、上がらない給料で購入に躊躇するようになってしまった。
ところで本書の宣伝の惹句で安彦が坂本龍一と対談しているとあり???となった。
安彦も対談のなかで言っていたことなのだがオイラも二人にまったく接点が想像できなかった。
坂本が病気療養中に安彦の本を読んで思想的な共通項を見出したらしいと語っていて合点がいった。
たしかに思想性は安彦と坂本で共通はするよな。
しかも本書で坂本が自著の『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』で安彦について触れていると書かれていてひっくり返った。
オイラ、その部分を読んでなかった。
慌てて該当箇所を探し出してみたら数行ではあるが坂本は安彦との対談の好感触を語っていた。
更にオタクなら誰でも聞いてみたいがこんなこと聞いたら武闘派でならした教授に半殺しにされかねない(笑)と思う、YMOの名曲『雷電、RYDEEN』と安彦が関わったアニメ『勇者ライディーン』との関連性を恐れを知らない安彦が聞いてみたりもして微笑ましかった。


『婦人画報 2021年3月号 (2021-02-01)』
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AmazonでKindle版購入。
前述した安彦良和と坂本龍一の対談のオリジナルが読みたくて(『安彦良和の歴史画報』での対談はすごく少ない抜粋版だったので)購入。
しかしこのオリジナルの方の対談も正味3ページぐらいなもので期待していたのよりかなり少ない。
まあ雑誌の趣旨からすればアニメ作家と作曲家の対談などにそれ以上ページは割けないということなのだろうけど、残念でならない。
オイラからすれば安彦と坂本の対談なんて通常ありえない組み合わせかつ奇跡と対談だと思っているのだが、そう思っているのは世界で8人ぐらいしかいない気合の入った筋金入りのオタクぐらいなものだろうからな。
坂本龍一が安彦良和を「安彦先生」「安彦さん」と敬称がブレているのが微笑ましい。
二人の会話で米トランプ元大統領の酷さは一致しつつも、だからと言ってオバマやブッシュがまともな政策をしていたわけではないという論評を下すところ、そういう多角的な考え方見方ができるようにオイラはなりたい。


『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』
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以前、読んだ気になって感想を書いてしまったが、前述の『安彦良和の歴史画報』の記述で再読。
読んでなかった"著者に代わってのあとがき"を読んだ。
この本の"あとがき"は坂本が亡くなってからの出版で坂本と親交のあった編集者によるものであった。
この編集者のコメントも読み応えがあるのだが、坂本が断続的に短文で書いていたという日記とも雑感ともいえるような文章がどれも素晴らしい。
読んで心震えるという大袈裟ではない表現の文章。
神懸かった知性と教養が短い文章に込められている。
坂本のこの文章が読めてよかった。
オイラにとって非常に良い指針となる言葉だった。


『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
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ネタバレあります。
先週土曜日、109シネマズ菖蒲。
『ナポレオン』にするか『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』にするか迷った。
『ナポレオン』は長いし歴史モノなので途中で気絶する危険もあったが観たい映画ではあった。
結局『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』にしたのは評判が良さげであったのとTwitterで水木しげるの
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』_c0022635_19171153.png
総員玉砕せよ』の成分が入っているという事を知って俄然強く興味を持った。
世界観は戦後10年ほど経った昭和31年。
まずこの昭和31年の描写が絶妙。
オイラは昭和42年生まれだがその近辺の時代でもまだ列車の中には灰皿があり、タバコは自由に喫めていた時代。
それこそ近くに咳き込む子供がいようがお構いなしだった時代だ。
主人公は水木という製薬会社の出世意欲の強いサラリーマン。
この主人公の名前って↓の宇多丸の映画評を聴いて反芻するまで
作者の水木しげるの"みずき"から来てる事を気がつかなかった。
宇多丸の番組ってYouTubeで動画配信されてるのね。
久々に宇多丸と古川耕が動いている姿を観て嬉しくなったりした。
それはさておき、戦争中散々理不尽な目にあっておきながら、その理不尽さを払拭するではなく相変わらず立場を強くして力を持って、他人にその理不尽さを押し付けた上での勝利を目指す。
しかしそんな理不尽さの上に築いたのは最終的には勝利ではなかったのあ日本の敗戦を見れば明らかであった。
理不尽さの上にたった勝利者と呼ばれる人間たちの醜悪さ、当事者たちは微塵も自らを醜悪とは思わない人間達を人間ではないおぞましい存在として幽霊とか亡霊とか妖怪と規定していたのかもしれないが、やはりというべきか人間が本性的に悪質で醜悪。
それは幽霊以上に人間は醜悪だ、ということだ。
オイラもなんの不思議もなく多少具合が悪くても仕事に行くのは普通だと思っていたが、やはり普通じゃないんだよ。
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本作は不死ではないにしても疲れを知らない人間を作る薬品をめぐる話でもある。
戦争が終われば会社員として"24時間戦える兵隊(会社員)"が是となる碌でもない社会になった日本。
それがいかに碌でもないということをわかっているのがそんな兵隊を使う側。
ヤツらはわかっていてそれをやっているから悪質さが根深い。
戦後民主主義となり戦争の理不尽さを払拭したと思いきや、それは形を変えて現在でもある。
おそらく水木しげるは結局払拭しえなかった戦争の世界観を戦後にまで残してしまったことへの忸怩たる思いが強かったのかな、と本作を観て理解できた気がした。
本作でも生きながら妖怪の血を搾り取りそれをもとに人間に疲れを感じさせない薬品を作る。
企業の利益、一部の悪辣な資本家の為に無自覚に労働者血の一滴まで奉仕するのが是だと信じ込まされている。
本作の舞台として製薬会社のある都市部と土俗的でおぞましい慣習をもった田舎を出し、その田舎の都会に憧れていた少女沙代に最終的には田舎にも都会にも希望がないという絶望を与えることになる。
本作、物語的に非常に思索にとんだ重厚なテーマで物語を構築している。
物語だけでもかなり魅力的ではあるが、更に作画についても相当に強い。
多くの人が言っていたが中盤の崖から迫り出したような展望建築でのゲゲ郎と龍賀一族の兵隊とのアクションシーンがすさまじかった。
動きがいいのは勿論のこと、格闘アクションのアイデアが非常に秀逸であり素晴らしいの一言。
悔しかったら実写映画でこれだけ手の込んだ魅力的なアクションを作ってみろと言いたいぐらい。
本作は謎解きの要素もありゲゲ郎が行方不明の妻を探してその顛末の悲しさに泣けてくる思い。
ただオイラちょっと見逃しのだと思うがゲゲ郎が目玉おやじとなる描写が判然としなかったので、これはBlu-rayでの再見で確認したい。
エンディングの音楽もオイラが知っている
♪カラ~んころ~んカランからんころん
のあの音楽をベースにアレンジしたの川井憲次はやはり素晴らしいと思った。
本年度ベストの映画の一つに数えたい。

# by 16mm | 2023-12-03 15:38 | 映画・Blu-ray・DVDの感想など。 | Trackback | Comments(1)