『川の深さは』『Twelve Y.O.』『しゃべる唯幻論者』『立喰師列伝』

福井晴敏の『川の深さは』『Twelve Y.O.』を読了。
いや〜面白かった。普段まったく小説を読まないので世間的にこの小説が面白さでどのレベルにあるのか総論として比較できないオイラであるが、読んで良かったと思った。
『川の深さは』『Twelve Y.O.』と『亡国のイージス』は"ダイス"という防衛庁の架空の組織が絡む作品であり、作品をまたがって描かれている登場人物もいる。
オイラとしてはどうもオヤジに思い入れちゃうせいか(笑)井島さんが『Twelve Y.O.』で再登場した時に感無量となったよ(笑)
『亡国のイージス』は他の二作に比べて割とリアリズムを追いかけた感じになっているが、『川の深さは』『Twelve Y.O.』はどちらかというとリアリズムと適度な折り合いをつけて、文章で読ませるアクション映画、活劇を体現していた。
それが非常に快感だったのだ。
特に『川の深さは』『Twelve Y.O.』は女の子を守る男の話でもある。
ガキの頃に憧れた世界が魅力的に描かれていた。
世間的な評価で言うと『Twelve Y.O.』は若干低いようだが、オイラはもしかしたらこれが一番好きかもしれん。いや、三作平等にすべて好きであるのだが(笑)
この『Twelve Y.O.』という訳の分からないタイトルが物語に密接に絡んでいて、トゥエルブが人の名だという事は冒頭で分かるのだが、"Y.O."がなんだという事になる。
そして人の名前でしかないと思っていたトゥエルブが更にラストでダメ押しで引っ掛けてくるのだ。
「ああ、なるほど....」という声にならない声をだしてしまうっていうのは既に術中にハマっているわけであるが、それに思いっきり感動してしまったんだから仕方ない。
印象としてはこの手の軍事ものとしては押井の『パトレイバ−2』からのインスパイアというのが感じられた。
だからどうということではないが、押井のファンとしてはそれがうれしかったりする。
ところで福井晴敏と樋口真嗣の対談集『ローレライ、浮上』で、この福井という作者が実は執筆当時パソコンもやっておらず、沖縄へも子供の頃の一度しか言ってないというのを読んで「とんでもないサギ師だ」と思ったのは言うまでもない(笑)
ほんとに見て来たように書くよな作家って生き物は(笑)


『しゃべる唯幻論者』
岸田秀の本を久しぶりに買った。
一冊買ったらまた読み始めたくなった。
学生時代から今に至るまで。今では唯一私淑している学者である。


押井守の新作映画『立喰師列伝』の予告編を観た。
川井憲次の音楽と独特の映像で期待を持たせる。
もしかしたら、やっと『紅い眼鏡』以来楽しめる押井の実写映画になってるのかもしれないと期待をもった。
たぶん観に行くと思う。
が、押井の実写や過度な期待で裏切られ続けて来たのであまりアツクならないようにしとこw
by 16mm | 2006-02-13 23:58 | | Trackback | Comments(2)
Commented by chata at 2006-02-14 01:03 x
読了オツカレサンです。ここまできたらローレライ読むしかないでしょう。
アニキの今度出る新作もダイスのお話のようで。文庫になったら読もうかな(´・∀・`)
はやく噂の『福井ガンダム』を書いて欲しい。30周年にあわせてアニメ化というのは本当だろーか。
『アムロとシャアを出したい』発言に期待大でし(´∀`)
Commented by 16mm at 2006-02-14 08:55
chataはん。
『終戦のローレライ』文庫で4冊ぐらい?を見て腰がくだけてる状態です(笑)勇気が出たら読みますw

今度出るのは『オペレーション・ローズ・ダスト』という奴かな?雑誌連載していたものを加筆して出版するという。この話し去年の今頃から出てたけど、映画関連に忙殺されてそれどこじゃなかったんだろね(笑)

『福井ガンダム』かあ。すっげ楽しみだな。アムロとシャアを出してくれるというのにも期待は膨らみますなw

『Twelve Y.O.』を読んでこのオッさんが仙石サンを助けたんだなあと思って感慨深くなりました。
この"Twelve"、"12"というキーワードが最後の最後でこの小説の描く希望として強烈なフックになっていたと思います。
この小説、後書きで大沢<新宿鮫>在昌も『川の深さは』に比べると......という感じだったようですが、オイラは比較で言ったら『Twelve Y.O.』の方が好きかもしれん(笑)


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