『嫌われ松子の一生』

先週金曜日にポータブルDVDプレーヤーの買い替え。今度は東芝製で今までより画面が多少デカくなった。ビックカメラでポイント使って33000円ぐらい。良好に使用中。

土曜日、会社を辞めた友人と晩飯を食べる。食べ放題の焼き肉。
ああ、なんということだ。食べ放題の店で食べ残すなんざサイテーなことだが、それをやっちまった。死にたい程に自己嫌悪。
そんな39歳の誕生日。

の、天罰が下ったか、月曜日の朝から腹がユルユルである。焼き肉、ナマヤケで喰った気もする。

月曜の本日、ちょっと早いが35歳で死んだ友人の墓参りに。死人には贅沢だとは思いつつエビスビールを置いてきた。毎度そうだが田んぼの中のお墓というのは行く度に迷う(笑)しょっちゅう行ってれば迷いもしなかろうが一年に一度じゃしょうがないか(笑)
故人を忘れる事はないが、あと何回律儀に墓参りを続けるかな。



「胸をみせなさい」
(笑)
『嫌われ松子の一生』。劇場にて日曜日に鑑賞。
『嫌われ松子の一生』か『ナイロビの蜂』かで迷って、『ナイロビの蜂』に決めて、スポーツジムもその時間に合わせて切り上げて劇場にいってみたら、『...蜂』満員(笑)
1時間本屋で時間を潰しつつ『嫌われ松子の一生』を観る事にした。
面白かった。
『下妻物語』を作った中島哲也が監督ということで俄然興味をもったのだ。
この監督、以前、豊川悦司と山崎努とで温泉卓球をやっているサッポロ黒ラベル のCMを作った人だ。あのCMも面白かった。
今後映画監督は、CGによる映像の制作に詳しいという事が作る映画の品質を底上げする。
映像表現についての知識は今まで以上に監督の必須な要素となるだろう。
その手技術に興味をもって製作していた監督は海外には以前からいた。キューブリックもスピルバーグもキャメロンも。
日本で最も詳しいのは山崎 貴だろう。

ビジュアル、物語の構成、役者、すべてが素晴らしい。
ビジュアルは全体がセピアの色調であり、印象として粘りのあるような極彩色の氾濫。
どちらかというと重たい色彩設計はもちろん計算づくで、ラスト近くに絵に描いたような清々しい青空と白い入道雲の印象を強くするためだ。
それからカメラの動きに感心したのは、日本人ではなかなか出てこない空撮をつかったカメラワークである。
実際は空撮ではないのだろうが、ラスト近くで歩く人のやや上を滑るように移動して、土手を下り、川の真ん中までカメラが移動する。
このシーンが見た目シームレスでワンカットで表現されている。当然CGは使っているだろうが、撮影方法そのものを底上げするようなCGの使い方ができる監督が出てきたという事に感動した。
黒いゴミ袋がカラスに変わるビジュアルのアイデアもすばらしい。

物語の構成もこっている。所謂オチを最初にもってくるやり方だ。
観る方は最後がどうなるか分かった状態で映画を観るわけである。
オチで客を満足させるのではなく、そこに至る過程を丁寧に作り上げることによって客の緊張感を持続させる事に成功している。
キューブリックの『バリー・リンドン』やタランティーノの諸作や『処刑人』、北野武の『菊次郎の夏』もそんな構成だったが、作るのは難しのだろうと思う。
全体で言えばミュージカル風の構成であり、ミュージカルだとなぜか気を失う仕様のオイラは、この映画でも意識をちょっと失いかけた(笑)

役者もみんな素晴らしい。
が、やはり中谷美紀だろう。
ほんとうに色んな顔を見せていた。
演技というものを通して必死に限界を突破しようとして、それに成功していたと思う。
良く濡れ場をやると"演技開眼""女優魂"などと聞こえの良い事を言われるが、当たり前だがセックスシーンをやる事と演技の善し悪しはまったく関係ない。
トルコ嬢(劇中そう言ってた)を演じてる時のエロティックさや、晩年のデップリ太って緩やかに自殺していこうとするところの演技。
性の裏に死への願望があり、死の裏には生へのわずかな希望があり。エロスとタナトス。
人を好きになるというのは生きる力だ。たとえそれが偶像(アイドル)であっても、生きて行こうとする力になりえるのだと。
中谷美紀はそれらを実に上手く演じていた。
他の映画やTVの演技は知らないが、この映画の演技だけでも感心してしまうのである。

ミュージカル風だからというわけではないが、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を思い出した。
ただ全体がポップな感じで作られているため、結末を含めて『ダンサー・イン・ザ・ダーク』程重くならずにすんでいる。
ある意味『嫌われ松子の一生』のラストには救いがあったと思う。
妄想のなかで妹の髪の毛を切ってやった松子。
その生涯の最後に昇っていく階段の先に松子のセットした髪型の妹が「おかえり」といって出迎えるラスト。
......
あぶなく胸をかきむしる所だった。

これを観て「女ってかわいいな」と思うのは騙されてる証拠だろうか(笑)





『花よりもなほ』面白そうかもしれない。
by 16mm | 2006-05-30 00:09 | 映画・DVDの感想など。 | Trackback(6) | Comments(8)
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Commented by りおん at 2006-06-01 13:21 x
TBありがとうございます!レビュー読めて嬉しい

絶対見にいこうと思いました♪
Commented by 16mm at 2006-06-02 08:40
■re:りおんさん。
コメントありがとうございます。

男運が悪いではすまされない、これだけ運が悪いのは根本的に本人に問題があるのではないかと思うぐらいに松子を襲う不幸のスパイラル(笑)
暗くなりがちな題材ながら演出が非常にポップなので笑いながら観れちゃいますね。
オイラはラストの階段のシーンがツボでした。
Commented by JunBo at 2006-06-02 23:53 x
Σ(´Д`; 焼肉のお肉って ナマヤケはいけなかったの,,((汗
ちくっと やんわりしてるのが オイシイな~なんて。
お腹の具合は よくなったのでしょうか(@@;
オナカの中でなく 外がユルユルに...なりたいなぁ~((笑

毎年って決めずに 会いたい時に行くのがよかよね。
たまのビールだから エビスもいいのやもv
昔ケースで買って 賞味期限切らせるほど寝かせてしまった,,σ(゜Д ゜;エビチュ
Commented by 16mm at 2006-06-03 09:01
■re:JunBoさん。
どーもレバーがナマヤケだったような(笑)
結構せっかちなので意地汚くパクパク喰ってたら当ってしまったようです。
お肉は良く焼きましょう(笑)。

昔賞味期限切れのビールを植木にやるといいというのが本に書いてあったけど、本当かシラン(笑)
Commented by 偏屈王 at 2006-06-03 11:27 x
「お誕生日おめでとうございました」と、過去形で(笑)。

あー、「松子」の監督ってあのトヨエツと山崎努のCM撮った人でしたか!
そりゃ面白そう。

ところで「間宮兄弟」での中島みゆきは、おっとりのほほんとした素に近い感じで演じていて可愛らしかったですよ。
30男の母親役にはまだ若くて気の毒な気もしたけど(笑)。
Commented by 16mm at 2006-06-03 13:09
■re:偏屈王 さん。
ありがとうございます。
来年は40だあ(笑)一般的には不惑という年代になるのでしょうけど、多分ずっと迷走しまくりの人生でしょう。

中谷美紀の『嫌われ松子の一年』つー本を読んでるんですけど、なんかおこがましくもメンタルな部分からでる行動がオイラと同じだと思いました(笑)
彼女はA型だろうと思ってたら、やはりそうでした(笑)
監督と主演女優、撮影中は決して良好な関係ではなかったみたいです。
ただ双方に良好な関係が築ければ良い作品ができるというわけではないですしね。
『ブレードランナー』も監督と主演俳優どころか主演俳優と主演女優の関係も最悪でしたが、作品は名作(笑)
この『嫌われ松子の一生』もそんな名作になるのかなあと思いました。

『間宮兄弟』はねえ、中島みゆきで非常に興味があるんですけど(それのみの興味ですがw)監督が森田なんですよねw
いや、そんなにキラいではないんですけど、『模倣犯』がオイラにとって最悪だったものでね(笑)
ちなみに中島さんは5●才なので年齢的にはアリかなと(笑)
Commented by chata at 2006-06-05 00:21 x
携帯からこんぬつは( ´ー`)

チョイ役すらもハマり役ってのは、何気に凄いことかもしれませぬな。あんだけ人が出てるからなおさらw

今月は死のノート待ちで(→o←)ゞ
Commented by 16mm at 2006-06-05 00:30
■re:chataさん
携帯からのコメントありがとうございます(笑)
本当に役者がうまくハマってたと思います。が、オイラほとんど誰がだれだか分からないぐらい役者に疎くてわかりませんでしたTT
カンニングの教頭先生の
「胸をみせなさい」
が名セリフだと思いまふ(笑)

立ち読みですが『デスノ』一巻読みました。
今更ですが面白い。
その内愛蔵版がでたら単行本買うとします。
映画も観るであらう。


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